ジュノー探査機 : グレートレッドスポット(大赤斑)への近接フライバイ

NASA ジュノー探査機が取得した木星の大赤斑の画像は、巨大な真紅の楕円形構造のなかで、暗く静的な雲が絡み合っている様子を見せる。

ジュノー搭載の JunoCam イメージャは、月曜日(7月10日)の飛行期間中に太陽系に存在する巨大惑星の最も象徴的な現象を捉えた。グレートレッドスポット(大赤斑)の画像は、撮影翌日の火曜日に探査機のメモリーからダウンリンクされ、水曜日に JunoCam ミッションウェブサイトに掲載された。

三枚の画像を紹介するが、それぞれ大赤斑の特徴に応じて補正している。下二枚は、同じデータからのもの。
 

木星の大赤斑を色調補正したこの画像は、ジュノー探査機搭載の JunoCam イメージャからのデータを使用して「市民科学者」Jason Major によって作成された。撮影は、2017年07月10日午後07時10分(PDT)に7回目のフライバイ時に行われ、探査機は木星雲頂から約 8,648 マイル(13,917 キロメートル)の高度を通過。
Image credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Jason Major
 

サンアントニオのサウスウエスト研究所のジュノ主任研究員は、
「何百年もの間、科学者たちは木星の赤く大きな斑点を観測し、未知の疑問について理論化に努めてきた。JunoCam だけでなく、他のジュノーが搭載する八つの科学機器によるすべてのデータを分析したとしても、この赤い斑点の宇宙における過去、現在、未来について、疑問の解明にはまだ相当な時間がかかるだろう」と述べている。

ジュノーミッションチームが一般市民に向けた計画に沿って、「市民科学者」は、JunoCam ミッションウェブサイトからフライバイ時のオリジナル画像を取り出して処理し、初期形態よりも高いレベルの詳細を明らかにした。「市民科学者」が処理した画像、画像処理に使用されたオリジナル画像は以下にある。

https://www.missionjuno.swri.edu/junocam/processing

JunoCam データを処理した「市民科学者」である、ロードアイランド州ワーウィックでグラフィックデザイナーとして活躍する Jason Major は次のように述べている。
「木星から新しい生画像が到着するのを見るのはいつもエキサイティングだが、原版からさらに詳細が理解できるものに変えていく作業は、極めてスリリングだ」
 

ジュノー探査機が捉えた木星の大赤斑の色調強調補正されたこのカラー画像は、前述と同様、NASAのジュノー探査機搭載の JunoCam イメージャのデータから「市民科学者」Kevin Gill により作成された。2017年07月10日午後07時07分(PDT)のフライバイの際に撮られた画像は、木星の雲頂から約 6,130 マイル(9,866 キロメートル)通過時のものだ。
Image credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Kevin Gill
 

木星の大赤斑は、地球の 1.3 倍の幅で見積もられる(2017年4月3日現在:幅10,159マイル・16,350キロメートル)。この巨大な嵐は、1830年以来継続して観測されており、おそらく350年以上にわたって存在していたものと思われる。現在に至ってこの大きな赤い斑点は、幾分か縮小している状況が様々なデータ分析から窺える。

JunoCam と併せて探査機搭載の科学機器は、フライバイ中には総て稼動していた。現在、地球に送られてくるデータを集計、分析中である。

ジュノー探査機は、07月10日午後6時55分(PDT)に perijove(木星の中心に最も近い軌道の点)に達した。perijove 上におけるジュノー探査機の高度は、木星の雲頂から約 2,200 マイル(3,500 キロメートル)であった。大赤斑上空通過時の高度は、約 5,600 マイル(9,000 キロメートル)である。
 

このカラーイメージも、同じく「市民科学者」である Gerald Eichstadt によるものだ。このイメージは、全体的にイルミネーション補正されており、特徴的な嵐構造や周囲の乱気流をクローズアップするために強調補正されている。上に挙げた二枚目の元画像と同じく、2017年07月10日午後07時07分(PDT)に撮影されたデータ(雲頂から約 6,130 マイル = 9,866 キロメートル)を加工したものだ。
Image credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Gerald Eichstadt
 

2011年08月05日にフロリダ州ケープカナベラルから飛び立ったジュノー探査機であるが、木星雲頂の約 2,100 マイル(3,400 キロメートル)という低空をフライバイし、木星の雲層下を探査し、惑星の起源、構造、大気、磁気圏について地球との比較を行いながら木星で発生するオーロラからそれを解明しようとしている。

NASA ジュノーミッションの初期の科学成果は、未知で魅惑的な木星の内部構造、活発に発生する極地のオーロラ、極域の巨大なサイクロンなど、乱流構造の世界である太陽系内の最大の惑星を明らかにしている。

「ボイジャー、ガリレオ、ニューホライゾンズ、ハッブル、そして現在のジュノーからのデータを用いて、この象徴的な木星構造とその進化過程をより深く理解することができる」とNASA 惑星科学担当ディレクター、Jim Green は語った。
「我々は、皆さんと宇宙サイエンスの美しさと興奮を分かち合えることが嬉しいのだ」
 

ジュノーミッションについての詳細は以下で見れる。
https://www.nasa.gov/juno
http://missionjuno.org

グレート・レッド・スポット(大赤斑)の詳細は、次の URL を参照。
https://www.nasa.gov/feature/goddard/jupiter-s-great-red-spot-a-swirling-mystery
https://www.nasa.gov/feature/jupiter-s-great-red-spot-likely-a-massive-heat-source

木星についてのより詳しい情報は以下にある。
https://www.nasa.gov/jupiter
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office