カッシーニ探査機 : リング接近軌道ミッションを開始


土星軌道上のカッシーニ探査機は、11月30日に開始された一連の最終ミッションとして、先ず、土星のリング外縁を通過した。

カッシーニは、土星の雲の上から約 91,000 km 離れたところを、東部標準時間の12月4日午後5時9分に、土星のリング平面を通過した。ここは、小衛星ヤヌスとエピメテウスによって作られた塵が微かに環を成しており、F 環の中心から 11,000 km の場所だ。
 

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この図は、カッシーニ探査機が最後に行う二つの軌道の最近接アプローチを示しています。リンググレージング軌道はグレー(左)で示されています。グランド・フィナーレの軌道は青色で表示されます。オレンジ色の線は、カッシーニの2017年09月に実施する最終アプローチとなる土星への突入を示しています。
Image credit: NASA/JPL-Caltech
 

リング平面通過の約一時間前、カッシーニは主エンジンを約 6 秒燃焼させた。その約 30 分後、リング平面に近づくと、カッシーニはキャノピーのようなエンジンカバーを閉じて保護した。

「宇宙船の軌道に対する小さな調整で、この新しいミッションを遂行することができる」と、JPLのカッシープロジェクトマネージャー、Earl Maize は語った。

リング平面通過の数時間後、環の構造を詳細に調べるため、カッシーニは電波科学装置でリング全体を完全にスキャンした。

「計画に何年も掛かったが、ようやくここに辿り着いた。カッシーニのチーム全体が、これらのリング・グレージング軌道のデータを分析することに興奮している」と、JPL のカッシーニプロジェクト科学者、Linda Spilker は語った。 「すでにスリル満点の旅が始まっている」

カッシーニのカメラは、リング平面を通過する約二日前に土星の映像を取得したが、最接近ではなかった。今回のリング平面通過の大きな目的は、エンジン操縦と科学機器による観測だった。今後、リングの外側と小衛星をつぶさに撮影する機会があるだろう。

残りのミッションでのカッシーニの軌道はそれぞれ1週間だ。次回の通過はリングの外縁で、12月11日に予定されている。20 回予定されているリングを掠めるような軌道は、カッシーニの経路がタイタンによって曲げられる04月22日まで続く。タイタンとの接近によってカッシーニはリングを飛び越え、04月26日に土星と内側のリングの間の 2,400 km の間隙を初めて突き抜け、これが 22 回計画されている。

9月15日、ミッションは最終的に土星の大気に突入して幕を閉じる。急降下の間、カッシーニは、その信号が失われるまで、大気の組成についてのデータを送信する。



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office