地球近傍小惑星 : カタログ、15,000 を超える!

15,000番目に発見された地球近傍小惑星(NEA)は、2016 TB57 と指定されました。2016年10月13日、アリゾナ州ツーソンにある NASA カタリナスカイサーベイプログラムの一環であるマウントレモンサーベイのオブザーバーによって発見されました。

昨年のニュースですが、今年の PDC 国際会議が日本で行われることに併せて、今年一枚目の日本語訳ニュースとします。米国による努力ですが、私たち日本側も「市民惑星科学連合」の名のもとに啓発活動を行っていきたいと強く思っています。
 

発見された 15,000 番目の地球近傍小惑星は、2016 TB57 と仮符号が付いた。2016年10月13日、アリゾナ州ツーソンにある NASA カタリナスカイサーベイプロジェクト(Catalina Sky Survey)において、マウントレモンサーベイ(Mount Lemmon Survey)のオブザーバーによって発見された。
Image credit: NASA/JPL-Caltech
 

現在までに発見された地球近傍小惑星(NEA - Near-Earth Asteroid)の数は、今や 15,000 個に上り、毎週さらに平均 30 の新しい NEA の発見がカタログに追加されています。
このマイルストーンは、2013年の08月に発見数が 10,000 個に達して以降、既知の NEA の数が 50% 増加することを示しています。

NASA の地球近傍天体(NEO - Near-Earth Object)観測プログラム(NEO には小惑星と彗星の両方が含まれる)による予算で行われたサーベイは、これまでの発見の 95% 以上を占めています。

15,000 番目の地球近傍小惑星は、2016 TB57 と指定されています。この天体は、2016年10月13日、アリゾナ州ツーソンにある NASA 支援によるカタリナスカイサーベイプロジェクトの一環であるマウントレモンサーベイ(Mount Lemmon Survey)のオブザーバーによって発見されました。
2016 TB57 は、10月31日に地球~月間の距離(Luna Distance)の五倍をわずかに超える軌道を通過しました。約 50~115 フィート(16~36 メートル)規模の小惑星です。

地球近傍小惑星は、地球が太陽を周る軌道半径の約1.3倍(1.3 AU)以内にある軌道であると定義されています。太陽の約1億2100万マイル(1億9500万キロメートル)以内の軌道となります。1 AU は、地球が太陽を周る軌道半径で、約9,300万マイル(1億5,000万キロ)です。オブザーバーは、大型の 0.6マイル(1キロメートル)規模を超える NEO の 90% をすでに発見しています。

NASA の NEO Observations Program Manager である Kelly Fast 氏は、
「近年の NEO サーベイの成果は、望遠鏡のオンライン化の進展によるものだ。ただ、我々は大きな進歩を遂げているが、まだまだ長い道のりがあるのが事実だ」
と述べています。天文学者によると、140 メートル以上の NEA の約 27% しか発見されていないと推定されています。議会は NASA に対し、2020年末までにこのサイズ以上の物体の 90% 以上を発見するよう指示しました。

現在、NASA の予算による二つの NEO サーベイ(Catalina Sky Survey、ハワイの Panoramic Survey Telescope&Rapid Response System(Pan-STARRS))は、近年の新しい NEO 発見の約 90% を占めています。両プロジェクトは2015年に望遠鏡をアップグレードし、発見率を向上させました。

カタリナスカイサーベイのシステムアップグレードにより、月平均 NEO 発見率は三倍になりました。Pan-STARRS システムが NEO 検索に費やした観察時間を90%に増やしたことにより、発見率が増加したわけです。
Pan-STARRS はまた、この秋、このサーベイに第二の望遠鏡を追加する予定です。能力の高い望遠鏡が追加配備されることにより、全体の NEO サーベイ進展は、140メートル(460フィート)以下の小さな物体を見つけることが、より可能になります。

NEO サーベイプログラムは、潜在的に脅威になる NEO の発見、追跡、特徴付け、潜在的な影響に関する警告の発行、実際の影響の脅威への対応に関する米国政府の計画の調整を担当するNASAの惑星防衛調整局(Planetary Defense Coordination Office)の主要なモジュールです。

Planetary Defense を担う Lindley Johnson は、
「現在、大規模な小惑星を発見しているが、さらに潜在的な危険な天体を見つけることが可能だ」と述べました。
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office