JPL News (Ja) - Space Topics 2016
Space Topics JPL日本語訳ニュース : September 16, 2016. Latest
原文 : September 15, 2016 - Cassini Begins Epic Final Year at Saturn
カッシーニ探査機 : 壮大なフィナーレを迎える最後の一年
土星と周囲のリング、衛星を様々なアプローチで観測を行ってきたカッシーニ探査機は、その壮大な航海の最後の一年を迎えた。安定して確実な成果をもたらした歴史的な科学的探求の旅は、2017年09月に終幕する予定だが、その前には大胆な大詰めが二幕残されている。
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カッシーニ探査機の土星探査によって、これれまでに知られていた土星の外観が大きく変わりました。このビューは、2017年05月に北半球で夏至を迎える、現在の土星北半球を捉えたものです。
Image credit: NASA/JPL-Caltech/SSI
11月30日より、ちょうど A 環の外縁を越えるようにカッシーニの軌道変更を予定だ。カッシーニは、独特のねじれと編組構造を持つ F 環の中心から 7800 km 以内に近づいていく。
「これまでに無い例だが、F 環に埋もれた小さな衛星や他のリング以外の構造とともに、新たなリングが観察されることも期待している」と、NASA パサデナのカッシーニプロジェクトの科学者、Linda Spilker は語った。
「F 環への接近は、2004年以来で、当時は裏側だけの観測だったが、今回は F 環の両側を非常に高い分解能で観測する良好な機会に恵まれるだろう」
終幕: グランドフィナーレ
グランドフィナーレと呼ばれるカッシーニの最終段階は、2017年04月に本格的に始まる。幅 2400 km の未開の空隙を目指し、タイタンを利用してフライバイを行って探査機の軌道を変更する。探査機は04月27日を皮切りに、22回の突入を計画している。
Four Days at Saturn
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グランドフィナーレの間、カッシーニは最近接から土星を観測し、磁気と重力の精巧なマッピングと上層大気の接写を行う。土星の内部構造や土星の一日の正確な長さ、リングの総質量に関する新たな知見が期待される。メインリングの総質量は最終的にリングの年齢の問題を解決する手助けとなる。探査機は今回初めて、メインリングと土星の大気の外側から直接に塵サイズの粒子を採取して分析する。
「これはまったく新しい別ミッションと言える」と Spilker は語った。 「F 環とグランドフィナーレには科学的な説得力があり、土星探査に関して我々の意図がミッションに織り込まれていることの理解は容易に得られるはずだ」
文字通り土星に「入る」
2016年のグランドフィナーレの設計から計画開始以降、ミッションエンジニアは、最終段階に向けてカッシーニの軌道を微調整してきた。探査機は数度のタイタンフライバイにより、土星の赤道とリングに対して角度を増してきている。04月の最終フライバイにより、探査機は土星の環を飛び越え、グランドフィナーレへ向かう。
「土星の周縁へカッシーニを送り込むためにタイタンの重力を使用してきた」と、カッシーニのプロジェクトマネージャを務める Earl Maize は語った。
「この瞬間もタイタンとカッシーニの距離は縮まりつつあり、カッシーニを未踏の領域へ送り込む手段をタイタンが提供してくれる」
2017年09月15日、カッシーニが土星の大気中へ突入し、グランドフィナーレは終幕となり、その信号が失われるまで土星の化学組成に関するデータを送り続ける。大気との摩擦により、探査機は流星のように燃え尽きることになる。
グランドフィナーレの開始から終焉を迎えるまでを記念して、カッシーニプロジェクトチームは探査機が土星の北半球の上空から撮影した、回転する惑星の動画をリリースする。動画は 44 時間、つまり土星の自転四回分である。
間違いなくスリリングな飛行になる
「土星の北半球を繰り返し往復する際、先ずは土星の環の内側の端、続いて外側の端が、突入して通過するカッシーニが見るはずの景色だ。」と Spilker は語った。
カッシーニ探査機土星突入のカウントダウンは既に始まっており、ミッションの終わりが近づいているのは事実だが、ミッションの極めて重要な段階は未だ残されている。
「私たちはダウンカウントすることができるが、カッシーニの引退は未だ先だ」と、ワシントンの NASA 本部でカッシーニプログラムの科学者である Curt Niebur は語った。
「前途は洋々だ」
Akira IMOTO
Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan
Japanese Translation : A. IMOTO & K. Rikitake TPSJ Editorial Office