ジュノー探査機 : ソーラーパワー探査機として最遠に!

2016年01月13日の午前11時(PST:太平洋標準時)NASA の木星探査機ジュノー(Juno spacecraft)が、ソーラーパワーパネル展開探査機として最遠となる 4億9300万マイル(7億9300万キロメートル)に到達した。これまでのレコードは欧州宇宙機関(ESA)が運用する小天体探査機ロゼッタによる4億9200万マイル(2012年10月)だった。ロゼッタは、67P/Churyumov-Churyumov(チュリモフ-ゲラシメンコ)彗星へのアプローチの間に4億9200万マイルに到達していた。
 

ジュノーは、2011年に地球から飛び立ち、2016年に楕円極軌道から巨大なガス惑星を探査するため木星に向かっている。ジュノーは、木星とその猛烈な荷電粒子線の間を繰り返し巡回し、最も近いアプローチでは雲頂からわずか 5,000 キロメートル(約 3,000 マイル)に達する。
Image credit: Image Credit: NASA/JPL-Caltech
 

「ジュノー計画の目的は、太陽系起源の知見を得るための科学技術をさらに推し進めることだ」と主任研究者スコットボルトン(Juno PI、サンアントニオの Southwest Research Institute)は語った。

「我々は、これまでに獲得した技術を駆使して、木星大気層(雲頂部はアンモニア氷の結晶層)内部を探査し、木星が太陽系形成初期から持つ未解明なプロセスを明らかにする。太陽を周回する木星および他の惑星の軌道起源について解明することは間違った指向ではない」と続けた。

2011年08月05日に打ち上げられた探査機ジュノーは、NASA において初めての木星に到達する遠距離深宇宙探査向けに開発された原子力電池(RTG)を使用しないソーラー電力探査機である。9 m もの長さのソーラーパネル三枚を持つほどに探査機サイズが大きな理由はこのためである。地球軌道付近では 12 kw 余の発電量を得られるが、木星付近では 500 w 未満と極めて小さくなる。

太陽電池性能の改善、エネルギー効率を向上させた機器と探査機本体、効率の良い軌道設計等のデザインを確立してジュノー探査機計画は可能となった。

探査機ジュノーは、今年07月04日の米国にとって特別な日に木星に到達する。翌年までに木星を33回周回し、その間に木星大気雲上層から 3,100 マイル(5,000キロメートル)をかすめる。木星の太陽系惑星としての起源の解明、オーロラの観測、惑星構造、大気、および磁気圏などの探査がジュノーによって行われる。
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office