カッシーニ探査機 : 10月28日「プリューム突入」について7つの鍵となる事実

NASA のカッシーニ探査機は、10月28日水曜日に衛星の氷の噴出物のプリュームを通過する際、土星の衛星エンケラドスの海洋の試料を採取する。
 

今回の大胆なフライバイでカッシーニ探査機は、エンケラドスの南極の30マイル(48キロメートル)以内に飛び込むことになる。
Image credit: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute
 

カッシーニ探査機は1997年に打ち上げられ、2004年に土星の周回軌道に入った。それ以来カッシーニ探査機は、巨大惑星とそのリング、磁場を観察しつづけてきた。
以下は、今回のエンケラドスへの近接フライバイについて知っておくべき事柄だ。

エンケラドスは、土星の氷衛星である。ミッションの初期の頃、カッシーニ探査機は、南極地域から噴出する、氷と水蒸気、有機分子からなるそびえ立つプリュームを含め、エンケラドスに注目すべき地質活動があることを発見した。カッシーニは後に、衛星に全球的な海洋があり、熱水活動がありそうなことを突き止めた。それは単純な生命をサポートするのに必要な成分をもちうることを意味している。

今回のフライバイは、氷の下の海洋に由来すると考えられているエンケラドスのプリュームに、これまでで最も深く飛び込むことになる。探査機は以前、エンケラドス表面により近いところを飛行したことはあるが、活動的なプリュームを低高度で直接的に通過したことはない。

今回のフライバイは生命を検出することは意図していないが、エンケラドス内部で、海洋環境の居住可能性がどの程度なのかについて、強力な新しい見識をもたらすことになるだろう。

カッシーニの科学者は、今回のフライバイによって、どれくらいの熱水活動?すなわち岩石と熱水をともなう化学?がエンケラドス内部でおきているのかについての見識を得られることを期待している。この活動は、単純な形態の生命が海洋で居住できるかどうかの可能性に関して重要な意味をもちうる。これらの疑問に対して要となる測定は、探査機による水素分子の検出だ。

科学者はまた、フライバイの結果として、プリュームの化学的性質をよりよく理解できるようになることを期待している。より高い高度で探査機がプリュームを通過した過去の観測よりも、有機物を含むより重く巨大な分子に対してカッシーニの感度を高くすることも、低い高度で接近する意図の一つだ。

今回のフライバイは、プリュームが柱のような独立したジェットなのか、あるいは、曲がりくねった氷のカーテン状の噴出からなるのかについての謎の解決にも役立つ。その答えは、どれくらいの物質が氷の下の海洋から表面へ到達しているのかをより明確にするだろう。

研究者は、プリュームが実際にどれくらいの量の氷物質を宇宙空間へ放出しているのか確信をもっていない。活動量は、エンケラドスがどれくらいの期間活動してきたのかということと密接に関係する。
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office