カッシーニ探査機 : エンケラドスのプリュームジェット噴出はカーテン状の可能性

NASA の探査機カッシーニの撮影による研究から、土星の衛星エンケラドスのプリューム噴出はそれぞれ独立した「ジェット」ではなく、むしろ広がりを持つ「カーテン」であることが分かった。最新の研究によって、衛星の南極付近の亀裂に沿って観察されるジェットは錯覚であることが分かった。
 

カッシーニによる撮像のエンケラドスの南緯度の色彩を強調したこの図では、南極極域を横断する青い「タイガーストライプ」と呼ばれる亀裂が特徴。
Image credit: NASA/JPL-Caltech/SSI/PSI
 

論文は5/7に「ネイチャー」で発表された。

「亀裂に沿った間欠泉からのものではなく、虎の縞(Tiger stripe)と呼ばれる亀裂から発するカーテン状のプリューム噴出でしょう」と、論文の著者である Joseph Spitale は語った。「いくつかのジェットは見えたままのものかも知れないが、他のほとんどはジェットでないことが見て取れるはずだ。」

エンケラドスのプリューム噴出を虎の縞に沿った一様なカーテン状の噴出としてモデリングした。その結果、無いはずのジェットが、カーテンの折り目の部分に見えることが分かった。エンケラドスの表面の亀裂は真っ直ぐではなく、折れ曲がっているのだ。

「見る角度も大事だね」と Spitale は語った。「見る角度を変えれば、これらのジェットが現れたり消えたりするだろう。」

個別のジェットのように見えるカッシーニの写真と、シミュレーションで作成した「お化け、実体のない」ジェットの映像を並べておいたので、比較して欲しい。

カーテン状の噴出はハワイやアイスランド、ガラパゴス諸島で見ることが出来る。
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office