キュリオシティローバー「火星探索続行中」
 

NASA キュリオシティローバーは、ナビゲーションカメラ(Navcam)を使用して、10km(6.214マイル)を走破直後に、西に向かってこのシーンを撮影した。
Image credit: NASA/JPL-Caltech
 

NASA の火星ローバー、キュリオシティは今も任務を遂行している。4月16日、2012年の着陸以来の総移動距離は、今月分の 310 m も含め、10 km に達した。

ローバーは、以前に半年かけて調査した Pahrump Hills と呼ばれる地層の合間を縫って走り、次の目的地 Logan Pass へ向かう。

「単に歩き回っているだけではなく、岩石の特定を行いながら南へ向かっているのだ」と、米国立航空宇宙博物館の John Grant は語った。Grant はキュリオシティの科学チーム一員であり、調査の長期計画に携わってきた。

火星時間で 957 日めにして、火星上の総移動距離が 10 km に達した。この移動距離は車輪のオドメータから起算したものだが、実際には車輪の「滑り」があるため、地図から計算したほうが正確であろう。

キュリオシティは、層状になった Mount Sharp の裾野を調査し、太古の湖や川がどのようにして現在の乾燥した地形に変化したのかを調査している。Pahrump Hills の調査地点では、マレイ構成(Murray Formation)と呼ばれる Mount Sharp の基底部をなす地形が見られる。近辺にはビュート (切り立った丘)が洗濯板のように立ち並び、これらは上空から見るとひだ状のように見える。

「ローバーが走り抜けようとしている谷間は洗濯板で囲まれているが、その隙間を通って南進しようとしている」と、Grant は語った。「Logan Pass ではマレイ構成と洗濯板の関係を調査し、太古の地形変動の様子を知りたい」

「ローバーの移動性が全てを決定する。ローバーが行ける場所でしか調査できないから」と、Grant は語った。「いろんな場所に行っていろんな岩石を調査すれば、いろんなことが判るから」

「洗濯板がどのようにして形成されたが理解できれば、それを他に応用することも出来るだろう」と、Grant は語った。

キュリオシティは、着陸地点である Mount Sharp の北側を中心に、12ヶ月の大半を使用した。この間、太古の川と湖床が微生物の生存を許したかもしれないことを発見した。ローバーは着陸地点近辺から離れ、Mount Sharp へ向かっており、2014年9月の到着までに、途中いくつかの調査を予定している。



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office