小惑星リュウグウからのリターンサンプル分析の全体像
火の鳥「はやぶさ」未来編 その 20

安部正真1,橘省吾2,小林桂3,伊藤元雄4,渡邊 誠一郎5
1.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 2.東京大学宇宙惑星科学機構 3.岡山大学惑星物質研究所 4.海洋研究開発機構高知コア研究所 5.名古屋大学大学院環境学研究科

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要旨

探査機「はやぶさ2」は小惑星リュウグウ表面での試料採取のための二回の着陸運用を成功させ,現在,地球帰還に向けて,飛行中である.2020年末に地球に届けられるリュウグウ試料は,地球帰還から 6 ヶ月の期間,JAXA キュレーション施設内に設置された専用のクリーンチャンバーの中で,地球大気にさらされず,窒素ガス中で初期記載される.その後,一部試料に対し,外部機関での JAXA 主導の高次キュレーションならびに「はやぶさ2」科学チームによる初期分析がおこなわれる.地球帰還から 18 ヶ月後には,それらの分析結果はカタログ化され,国際公募による分析に試料が配布される.本稿では,初期記載,高次キュレーション,初期分析に関し,それぞれの目的や実施内容,計画について示し,国際公募開始以前に JAXA ならびに「はやぶさ2」プロジェクトが主導しておこなうリュウグウ試料分析の全体像を紹介する.
 

1. リュウグウ表面での試料採取

探査機「はやぶさ2」は小惑星リュウグウでの近傍観測(2018年06月 - 2019年11月)を終えた.リモートセンシング観測によって,(1) リュウグウが独楽(コマ)を上下に重ねたような形をしており,平均半径はおよそ 450 m であること,(2) バルク密度が 1.19 ± 0.03 g cm-3 であり,炭素質コンドライトの密度を想定すると,天体全体として,50 - 60 % の空隙率をもつこと,(3) 表面全域に 10 m を超える大きな岩塊(大きさ約 25 cm を超える岩石を岩塊とよぶ)が多く存在し,リュウグウ表面物質の幾何アルベド(反射能)は - 4.5 % しかなく,典型的な炭素質コンドライトよりも暗いこと,(4) 表面全域に 2.72 μm の吸収が見られるが,含水鉱物を含む炭素質コンドライトに比べ,吸収が弱いこと,などが明らかとなった [e.g., 1 - 3].また,着陸機 MASCOT によって,表面に細かい粒子が積もっているような様子は見られないこと,数 cm サイズの表面岩石の熱伝導度が隕石の典型値より小さいことが明らかになった [4, 5].これらの事実は,リュウグウが既存の隕石とは異なる物質科学的特徴をもつことを示唆する.含水鉱物の低い存在度は,リュウグウが加熱などによって含水鉱物を失ったためか,そもそも母天体で水質変成があまり進行しなかったためか,いずれかの可能性が考えられるが,現時点でははっきりとしない.

「はやぶさ2」は2019年02月,07月の二度,リュウグウ表面への着地に成功した.試料採取のための弾丸の発射も確認された.「はやぶさ2」サンプラーシステム [6 - 8] は「はやぶさ」を踏襲しており,弾丸発射型の試料採取機構が宇宙環境で動作することが初めて示された.第一回目の着地および試料採取は赤道付近でおこなわれた.第二回目の着地は衝突装置 SCI によって赤道付近につくられた人工クレーター周辺でおこなわれ,採取された試料にはクレーターから掘り起こされた地下物質が含まれていることが期待される.

初回と二回目の着陸の間にはサンプルキャッチャ内の試料導入口位置を変更し,二度の着陸で得られた試料をサンプルキャッチャ内の個別の格納室に収納した.2019年08月には,サンプルキャッチャを地球帰還カプセル内のサンプルコンテナに収納する運用もおこない,試料採取運用における全動作が無事に完了した.「はやぶさ2」は小惑星リュウグウ近傍での運用を11月に終え,現在,地球へ帰還中である.地球帰還カプセルは2020年末に地球に届けられる.
 

2. JAXA キュレーションにおける初期記載

2 - 1. キュレーション設備への帰還試料受入

「はやぶさ2」の帰還試料の受入については,JAXA 宇宙科学研究所の地球外物質研究グループが,JAXA 相模原キャンパスに設置された試料受入れ設備(キュレーション設備)を用いて行う.

帰還試料は探査機の帰還カプセルのサンプルコンテナ内のサンプルキャッチャに収納されている.地球帰還時に探査機から分離されたカプセルは豪州で回収される予定である.カプセルは回収後,現地でサンプルコンテナ内のガスが回収された後,輸送コンテナに封入され,日本に空輸され,キュレーション設備に運び込まれる予定である.帰還カプセル回収からキュレーション設備への搬入までは,JAXA に組織されたカプセル回収隊が主導して行い,地球外物質研究グループの作業はサンプルコンテナ受入後からスタートする.

2 - 2. サンプルコンテナのクリーンチャンバー搬入

キュレーション設備受入時,サンプルコンテナには,帰還カプセルのインスツルメンタルモジュールと呼ばれる構造体や,サンプルアブレータ(熱防御材)がついているため,そのままではクリーンチャンバーには入れられない.そのため,クラス 10000 レベルの加工洗浄室と呼ばれるエリアで,インスツルメンタルモジュールとサンプルアブレータの除去を行う.特にサンプルアブレータはサンプルコンテナと締結しているネジからの熱の流入を防ぐために,ネジ頭までアブレータで蓋をされているため,フライス盤を用いてアブレータを削り出すという加工作業をクリーンルーム内に独立排気エリアを設けて行う必要がある.

余計なものを取り除いたサンプルコンテナは表面を清浄にした後,試料準備室(クラス 1000)で蓋開封機構に組付けられる.サンプルコンテナは帰還試料の大気暴露を防ぐためにメタルシールされている.サンプルコンテナの蓋は内と外の二重構造になっており,ラッチ拘束された外蓋とばね力によって,内蓋がサンプルコンテナのシール部に押し付けられることで内部の密閉が保たれている.サンプルコンテナの内蓋だけをジグを使って反跳を抑え,外蓋とばねを除去してから,最終的に蓋開封機構に組付けられることになる.

2 - 3. 試料の取り出しと初期記載

 「はやぶさ2」の試料受入れのためのクリーンチャンバー (以下 CC と略す)は,第 2 処理室(クラス 100~1000)に設置され,5 室(CC3-1, 2, 3; CC4-1, 2)から構成されている(図 1,2.4節).蓋開封機構は台車で CC3-1 下部に設置され,CC3-1 の下面フランジに取り付けられる.蓋開封機構取り付け後にクリーンチャンバー内は真空環境にされる.
 

Image Caption :
図 1. 「はやぶさ2」試料受入れ専用の新クリーンチャンバー.5 室構成(CC3-1 から CC4-2)となっている.
Credit : 遊星人
 

サンプルコンテナの開封は,内蓋を抑えている機構をチャンバー外からの操作で解除し,内蓋を持ち上げることで行う.内蓋はサンプルキャッチャと締結されているため,この操作で,サンプルキャッチャがサンプルコンテナから露出する.露出したサンプルキャッチャを CC3-1 の第 1 トランスファーロッドでつかみ,CC3-2 へ水平搬送する.CC3-2 で第 1 トランスファーロッドを用いてサンプルキャッチャを反転し,内蓋を下にして,CC3-2 の第1ステージに設置する.

サンプルキャッチャは A, B, C 室の 3 部屋構成になっており,一回目の着地の際の採取試料は A 室に,二回目の着地の際の採取試料は C 室に入っている.CC3-2 の第 1 ステージではキャッチャ A 室の蓋のネジを外し,蓋を取り除く.

蓋を取り除いた後,CC3-2 の第 2 トランスファーロッドを用いて CC 3-2 の第 2 ステージに移動させ,スコープカメラで観察しながら,A 室の試料の一部を,鉗子機構を用いてピックアップし,CC 3-2 内に設置した石英皿に保管する.その後,CC 3-2 の第 3 ステージに移動させ,A 室の開口部に試料飛散防止用石英キャップを載せてから,CC 3-2 の第 3 トランスファーロッドを用いて CC 3-3 に移動させる.ここまでの作業をすべて真空環境下で行う.サンプルキャッチャが CC 3-3 に移動完了後,CC 3-3 と CC 3-2 の間のゲートを閉めてから,CC 3-3 を窒素パージし,以降,窒素雰囲気下でグローブ操作を行う.

CC 3- 3 からは,サンプルキャッチャはキャッチャハンドリング治具を介してつかむことで,グローブ操作でも安全かつ確実にその分解および試料の取り出しが行えるようになっている.サンプルキャッチャは分解する前に,CC 4-2 室で全体重量を計測し,回収された試料のおおよその総量を計測する.その後,CC 4-1 で,A室の試料の取り出し,B室の取り外し,B 室の試料の取り出し,C 室の取り外し,C 室の試料の取り出しを行う.

各室からの試料の取り出しは,各室の開口部に石英容器をかぶせた状態で全体を反転させて,各室内の試料を石英容器に移し変える.この手法は,「はやぶさ」初号機でも行った方法である.石英容器に移し替えられた各室の試料は再度 CC 4-2 に移され,各室の試料重量を計測したのち,光学観測と分光観察を行う.光学観察では試料のサイズ分布についての概略の情報も得る予定である.分光観察はここでは集合体としての分光データを取得予定である.分光観察は FTIR による反射スペクトル測定と,フランス宇宙天体物理学研究所(IAS)が開発した MicrOmega による分光イメージ測定を準備中である.MicrOmega は,「はやぶさ2」の MASCOT に搭載された分光イメージャーを帰還試料の測定が行えるように専用に新規製作したものを用いる.この MicrOmega の使用は2019年06月に JAXA と CNES 間で締結された「JAXA 地球外試料キュレーションセンターにおける MicrOmega での「はやぶさ2」帰還試料分析に関する協力活動についての実施取り決め」によって実現したものである.

各部屋の試料の集合体としての測定後に,個別粒子のピックアップを行う.「はやぶさ」初号機では最大でも 300 μm サイズの試料であったのに対して,「はやぶさ2」では mm サイズの試料も帰還することが期待されている.そのため,地球外物質研究グループでは,mm サイズの試料もハンドリングできるツールを開発中である.個別粒子はピックアップされた後,個別の容器に収納され,光学顕微鏡での記載を行う.また大きなものは個別の秤量と分光データの取得を予定している.個別粒子のピックアップと観察は,大きい粒子から行い,最初の 6 か月間では最大 200 粒子程度と考えている.
 

2 - 4. JAXA キュレーション設備

ここまで,帰還カプセル回収から,試料の個別ピックアップと試料の初期記載までの流れを説明した.続いて,試料受入設備について簡単に紹介する.

試料受入れ設備の検討の経緯については,[9] に書かれている.2015年から検討がスタートし,クリーンルームとクリーンチャンバーの完成は2018年である.クリーンルームを,「はやぶさ」初号機用クリーンルームの隣の部屋に新しく新設し,その中に,「はやぶさ2」専用のクリーンチャンバーを設置している.「はやぶさ2」のクリーンチャンバーは 5 室構成で,CC3-1, 3-2, 3-3, 4-1, 4-2 と呼ばれている.CC3-1, 3-2 は真空環境下でのハンドリング,CC4-1, 4-2 は窒素環境下でのハンドリングを行える仕様で,CC3-3 はその両方の機能を備えている.チャンバーはステンレス製で内面は複合電解研磨処理され超精密洗浄されている.クリーンルームへ設置後ベーキングで脱ガス処理を行い,真空環境下では残留ガス分析四重極型質量分析計 (RGA-QMS) を用いて,窒素環境下では大気圧イオン化質量分析計 (API-MS) を用いて環境モニタを行う.窒素ガスについては,最高グレードの液体窒素から気化器および流出型純化機を用いて不純物を取り除くと同時に,循環型純化器でクリーンチャンバー内のガスを随時精製しながら環境を維持する.

「はやぶさ」初号機のチャンバー構成が 2 室であったのに対し,「はやぶさ2」では 5 室構成となったのには理由がある.一つは真空環境下での試料の取り出しおよび保管を可能にするために,専用の CC3-2 を作ったことである.CC3-2 には真空環境で動作する機構を複数取り付け,ネジの取り外しや蓋の取り外し,試料の回収などを行うことが可能である.また各種スコープカメラを備え,サンプルキャッチャ内の試料の様子や作業の様子をリアルタイムで観察できる機能も備えている.また CC3-3 は真空環境から窒素環境に変えるエアロック機能を備えると同時に,拡張ポートを備え,将来の新しい機能を付加できるようにしている.前述の MicrOmega による分光測定機能は,チャンバー仕様の決定後に追加することが決まったため,このポートを用いて行う.拡張ポートにはゲートバルブがついているため,MicrOmega 測定が完了した後には,別の機能を付け替えることも可能である.

CC4-2 も「はやぶさ」初号機にはなかった作業用チャンバーである.「はやぶさ」初号機の帰還試料はほとんどが 100 μm 以下と小さく,静電制御マニピュレータ [10] と呼ばれる専用のハンドリングツールを開発し,これまで約 1000 粒子のピックアップに成功しているが,作業効率が悪く,当初は1日1粒程度のハンドリングがやっとであった.「はやぶさ2」では限られた時間で初期記載を完了し,後段の詳細分析に分配する作業を速やかに行う必要がある.幸い,「はやぶさ2」の帰還試料は初号機よりも大きなサイズであることが期待されており,試料ハンドリングも手作業で拾い上げることも可能なように,チャンバー上面をすべて窓面として,手元を目視して作業できるようなチャンバーを新たに設計している.これにより光学観察も,光学顕微鏡をチャンバー内に入れることなく,窓越しに設置観察できると同時に,電動モータを用いて自動マッピングも可能となり,試料観察の効率も格段に向上している.

CC4-1 は「はやぶさ」初号機の静電マニピュレータを設置したチャンバーと同様な設計であるが,主にキャッチャハンドリング治具を用いた,キャッチャの分解作業を,個別ピックアップした試料の一時保管スペースとして用いる予定である.

CC4-1 と CC4-2 にはハンドリングツールや試料容器の出し入れのための搬入出用のポートが用意されており,専用の搬入出用チャンバーを取り付けて,チャンバー内を真空排気および窒素置換を繰り返し行い,清浄化された環境にしてからゲートバルブを開け,出し入れを行う.テフロン製のジグなどは水分や大気の脱ガス効率が悪く,清浄化まで時間がかかる傾向があるため,「はやぶさ2」用の搬入出ポートは内部ヒータを備えており,脱ガス効率を上げて,ものの出し入れの作業性の向上も図っている.

CC4-2 の搬入出ポートはフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)の測定チャンバーの接続ポートも兼ねている.FTIR はキャッチャの各室から取り出した試料を集合体として石英容器に回収した後,拡散反射スペクトルデータを取得することを予定している.測定光のスポットサイズは 1 mmφ 程度であるため,試料サイズが大きい場合は,個別の反射スペクトルデータも取得可能である.測定波長範囲は 0.67 μm から 5 μm と「はやぶさ2」搭載の近赤外線分光計 NIRS3 の観測波長域をカバーしており,リモートセンシングデータとの比較することが可能である.チャンバー上部にはサファイヤ製の窓があり,チャンバー外に設置した FTIR 測定装置と外部光学系を介して,チャンバー内の試料を分光測定する.

重量測定については,CC 4-2 に接続した搬入出室を介して,秤量装置を CC 4-2 に導入して行う予定である.「はやぶさ」初号機では秤量装置を,ゲートバルブを介して隔離し,測定時のみゲートを開ける方式であったが,装置から秤量皿までの距離があるため振動の影響を受けやすく,測定精度が十分出せない問題点があった.そのため,「はやぶさ2」では装置本体を専用のアルミケースで覆うことでコンタミネーション源となることを極力避けると同時に,秤量測定時のみチャンバー内に導入し,測定終了後は速やかに外に出すことで,チャンバー内汚染を極力低くする方式を選択している.この方式は NASA の Johnson Space Center が採用している方式でもある.チャンバー内はドライな窒素環境下でグローブ操作や窒素循環の風の摩擦により静電気が発生しやすく,秤量装置は静電気の影響を受けやすいため,秤量想定時には,金属メッシュを取り付けた専用の風防を用いて測定環境の安定化を実現し,測定精度の向上を図っている.

CC 4-1 には将来の試料保管のための拡張ポートも用意している.初号機では,同様の拡張ポートに試料保管庫を取り付け,保管庫には無電源で駆動するゲッタポンプが二式搭載されている.保管庫に試料保管後,保管庫をチャンバーから切り離すことで,停電時にも安全に試料保管をすることが可能である.

チャンバー内で用いるハンドリングツールおよび試料容器は合成石英または,ステンレスおよびアルミまたはテフロンを原則としている.チャンバー搬入前には,超純水および有機溶剤で超音波洗浄を行い,メタル製品以外は酸アルカリ溶液を用いた洗浄も併用している.有機物除去に関しては,ベーク処理する方法もあるが,有機物以外の汚染レベルが悪化することを考慮して,U Vオゾン洗浄を採用することを検討している.
 

3. 初期記載後の試料分配の流れ

3 - 1. Phase2 キュレーションの位置づけ

帰還試料受入れ 6 か月後に,初期分析を開始することになっている.また初期記載作業と並行して,キュレーション主導のもと,高次キュレーション(以後 Phase2 キュレーションと呼ぶ)を JAXA 外部の研究機関と共同で行うことになっている.Phase2 キュレーションについては2015年03月に開催された第 5 回キュレーション専門委員会でその必要性が議論された.

その時の資料によれば,必要性については「「はやぶさ2」の帰還後,その試料に最も多く接する機会を持つのは ISAS キュレーショングループである.したがってそのハンドリングの経験から,初期分析や,外部の研究者からは提案されていない研究テーマを創出することが出来るはずである. 拠点分析は,このキュレーションメンバーの経験を生かしたサイエンステーマに基づく分析を実施する枠組みとして,「はやぶさ2」の試料から得られるサイエンス成果を最大化するために設定することを目的とする.また,拠点との共同研究を通し,キュレーションとその他の研究施設の人材交流,技術情報交換などを行い,将来のサンプルリターンへの人材育成を実施する.」とある.

初期分析との違いについては次のように整理された.初期分析は試料が帰ってくる前にあらかじめ徹底的に議論された分析フローにのっとって,試料が帰ってきてから短期間に科学成果を出すことを目標とするものである.一方,Phase2 キュレーションは,試料の帰還後,ある個々の試料,あるいはある試料のグループに対して,初期記載で得られたデータをもとに,帰還試料全体の特徴などを踏まえた上で,与えられた試料から最大の科学成果が得られるようサイエンステーマ・目標を設定し,それを達成する分析フローを検討して,実施するものである.

その後,専門委員会での二度にわたる書類審査を経て,2015年05月の第 6 回キュレーション専門員会で,岡山大学・地球惑星物質科学研究センター(現惑星物質研究所)(Phase2 三朝:代表 中村栄三)と国立研究開発法人・海洋研究開発機構(JAMSTEC)高知コア研究所(Phase2 高知:代表 伊藤元雄)の二か所が選定された.そして,キュレーション主導のもと,それぞれの研究機関がリュウグウ試料の分析を独立に担当することとなる.

JAMSTEC 高知コア研究所については,2018年04月の第 14 回キュレーション専門委員会において,地球外物質研究グループが連携協定や共同研究契約を結んでいる大学共同利用機関法人・自然科学研究機構・分子科学研究所,大学共同利用機関法人・情報・システム研究機構・国立極地研究所,高輝度光科学研究センターの研究機関と連携する体制に拡張することを提案し,承認されている(ただしあくまでも主体は高知コア研究所である).

3 - 2. Phase2 三朝の取り組み

岡山大学惑星物質研究所(IPM)は,小惑星探査機「はやぶさ」によってもたらされた小惑星イトカワ由来の帰還試料の初期分析を担当し,限られた微粒子試料の総合解析によって,微小重力天体表層環境に関する新たな物質科学知見を得た [11].その初期分析において重要な役割を果たしたのは,多様な局所分析,バルク分析機器を組み合わせ対象試料から複合的な物理化学情報を取り出すことを可能とした地球惑星物質総合解析システム(Comprehensive Analytical System for Terrestrial and Extraterrestrial Materials: CASTEM)を用いた総合物質科学的解析であった [12].そして小惑星リュウグウからの帰還試料の Phase2 キュレーションにおいても,さらに発展した CASTEM を最大限活用し,総合的な観点から帰還試料の起源・進化に関わる情報を抽出する予定である.そして国際 AO の基礎となる基本的な物質科学的情報を与え,継続的な研究の効率化を図ることを目的とする.

小惑星探査機「はやぶさ2」によるリモートセンシングによって得られた形体・形状情報,物性,物質科学的情報によって,小惑星リュウグウの描像の理解が進みつつある [2].岡山大学惑星物質研究所で実施する Phase2 キュレーションにおいては,これらの情報に基づき推定される物質科学的多様性を持つ微小重力天体形成モデルをあらかじめ想定し [13],帰還試料の総合解析によってそのモデルを検証する準備を進めている.リュウグウは,分光学的手法によって有機物質を含むことが示唆されており,太陽系環境における有機―無機物質の共進化およびマクロな小惑星形成・進化に関する物質科学的検証が最大のサイエンステーマとなる.岡山大学惑星物質研究所では,地球近傍小惑星の形成およびその後の物質進化における彗星の関与を強く示唆する物質科学的証拠を隕石試料中に見出している [14].そしてリュウグウにおいても同様の形成・進化モデルが適用可能であり,それを示す物質科学的痕跡を帰還試料に探りたいと考えている.そのため,多様な解析手法のなかから最適な手法を組み合わせる CASTEM2 をさらに拡張し,LC 超高質量分解能有機質量分析計および GC 有機質量分析計をシステムに導入することによって,多くの有機物質を含むと推定されるリュウグウからの帰還試料に対応できる解析体制の整備を行った.これらの有機物質解析システムに加え,電子顕微鏡や二次イオン質量分析計,安定同位体質量分析計,希ガス質量分析計を中心としたシーケンシャルな分析ルーチンの開発,評価に精力的に進めている.また,Phase2 キュレーション実施向けた人的体制整備にも取り組む.

3 - 3. Phase2 高知の取り組み

Phase2 高知は,JAMSTEC 高知コア研究所を中核として複数の研究機関(国立極地研究所,分子科学研究所 UVSOR,高輝度光科学研究センター(SPring-8),首都大学東京,大阪大学,あいちシンクロトロン光センター,マリン・ワーク・ジャパン)と連携し,小惑星リュウグウ試料分析の実施体制を整えている.彼らは,地球由来の汚染を極力排した国内外研究機関間の試料輸送手段の検討,複数の分析機器間での試料搬送法の確立,そして汚染源となる地球物質の物質化学的データの取集から始まり,リュウグウ試料の分析を見据え,連携研究機関が持つ分析機器・技術の先鋭化にチームとして取り組んできた [15-18].

リュウグウ試料に含まれる有機物と含水鉱物は,微小・微細な組織として複雑に共存する可能性が高い.そこで,Phase2 高知では,リュウグウ試料の分析に対して以下の取り組みを実施する.(1)放射光分析を中心とした非破壊分析から質量分析などの破壊分析へとシームレスにつなげた分析システム(二次元・三次元の高解像度組織観察,分子構造・化学種同定,軽元素同位体比,結晶構造,主要・微量元素組成など)を開発し,試料の物質科学的特徴を総合的に取得する.(2)得られた分析結果・手法は,初期分析チームへフィードバックするとともに,国際 AO やキュレーション作業に資するベンチマークとする.(3)国立極地研究所が保有する多様な地球外物質(隕石,微隕石)の分析データを利活用し,リュウグウ試料の太陽系物質としての普遍性と特殊性を探求する.

3 - 4. JAXA キュレーションにおける詳細分析

相模原のキュレーション施設内で行う詳細分析について,第 14 回キュレーション専門委員会で提案があり,承認されている.

キュレーションで実施する初期記載は原則として非破壊・非汚染としているため,実施できる測定は光学観察,分光観測と秤量測定に限られている.はやぶさ初号機ではサンプルカタログ作成に当たり,SEM / EDS 測定を行い,試料の鉱物種データを取得しているが,「はやぶさ2」試料には有機物が多く含まれていることが想定されており,SEM 測定において電子ビームによる試料ダメージが懸念されることから,初期記載では実施されないため,一部の試料について,次の目的のためにキュレーションにて早い段階で試料ダメージを許容する詳細分析の実施が認められている.その目的とは,その時の資料によれば,「(1)持ち帰った試料が小惑星リュウグウ起源の試料なのかどうかを明確にする.(2)リュウグウ試料がどのタイプの惑星物質と近いかを明らかにする.(3)リュウグウ試料に対して,汚染物質がどの程度含まれるかを明らかにする.」の 3 点である.上記の目的を達成する為に,原則として地球外物質研究グループの装置を用いて行う予定である.

3 - 5. 海外機関への試料分配

このほか,初期記載後の試料分配先としては,JAXA・NASA 間で結ばれた MOU に基づき,試料帰還後 1 年以内に NASA に 10 % の試料を分配することが決まっている.また MOU には分配する試料は representative で unprocessed であることと明記されており,「はやぶさ2」の初期記載でSEM / EDS を実施しない理由にもなっている.また,帰還後1年半後には国際公募研究(国際 AO)を開始することも記載されており,そのためのカタログ作りも前述の機関への試料分配後に継続して行う必要もある.さらに高次キュレーションの海外枠として,一部の試料を海外チームに,国際公募研究の開始前に分配することもかねてから提案されており,その分配のタイミングと分配先についての検討が現在も継続中である.

以上,初期記載から国際公募研究までの試料分配のタイミングについての現時点での案を図 2 に示す.
 

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図 2. 「はやぶさ2」帰還試料の試料分配予定. 試料の分配比率については最終的には「Hayabusa2 Sample Allocation Committee(HSAC)」で決定される予定である.
Credit : 遊星人
 

4.「はやぶさ2」チームがおこなうリュウグウ試料初期分析

初期分析の役割は,(1)リュウグウ表面試料がどういう物質であるかを明らかにし,(2) 「はやぶさ2」計画が掲げるサイエンス目標をリターンサンプル分析から解明することに挑み,(3)その後の国際分析(国際 AO)に対し,リュウグウ試料の科学的ポテンシャルを示すことである.

 「はやぶさ2」計画が掲げてきたサイエンス目標は,1) 微惑星から小惑星に至るまでの熱変成とそれに伴う物質進化の紐解き,2) 衝突破壊・合体のプロセスを含めた小天体物理進化の謎解き,3) 小惑星での鉱物・水・有機物相互作用による有機物複雑進化過程の探索,4) 原始太陽系円盤内での高温物質から揮発性物質までの物質混合・循環の解明である.初期分析では,これらの四つの目標の下に,銀河・分子雲,初期太陽系円盤,微惑星,メインベルト小惑星,近地球型小惑星といった進化ステージごとの物質進化を追うことを目標とする [6, 19].「はやぶさ2」がリュウグウで得た km - mm スケールでの観測情報を,mm - 原子スケールの分析情報と結びつけ,観測データを解釈する物質科学的証拠を提供することも重要な役割として当然含まれる.(1), (2)で十分な成果が得られれば,自ずと(3)の役割を果たすことができるものと考えている.

持ち帰られた試料が(地球起源ではなく)リュウグウ起源であることを鉱物種,組織,同位体などの分析から結論づけた上で,これまでのリュウグウでの観測結果 [e.g., 1.5] をもとにして,以下のような科学目標に取り組む.

4 - 1. リュウグウ試料とはなにか

これまでの地上の隕石や惑星間塵コレクションに見られる化学的,岩石鉱物学的多様性の中に,リュウグウ試料を位置づけることである.イトカワ粒子に対しても,初期分析でその作業がおこなわれた [20.22].着陸機 MASCOT によるリュウグウ表面の詳細観察では,コンドライトに見られるような mm サイズのコンドリュール,CAI 様の構造が確認された一方で [4],熱放射計での分析では,数 cm サイズの表面岩石の熱伝導度が地上の隕石より小さいことが明らかとなった [5].これはリュウグウ表面岩石が隕石より空隙率が高いことを示唆し,リュウグウの岩石がこれまで人類が手にした地球外物質とは異なる可能性が高いことを意味する(空隙率が高く脆い岩石であれば,大気圏突入時に破壊され,地上に隕石として落ちてこない可能性がある).リュウグウ試料とはなにか,まずはこの点を明らかにする.

4 - 2. 太陽系の初期化学条件

太陽系始原物質には,太陽系形成以前に進化末期の恒星周囲で形成された微粒子(太陽系とは極端に異なる同位体組成をもち,プレソーラー粒子とよばれる)が一部含まれる.始原隕石に比べ,宇宙塵により多くのプレソーラー粒子が含まれていることが知られている.リモートセンシング観測が示すリュウグウは含水鉱物起源の OH 振動が表面全域に見られるものの,その存在度は含水鉱物を含む炭素質コンドライトより少ないものであった [3].その原因は加熱による脱水であったかもしれないし,そもそも含水鉱物形成が進んでいないのかもしれない [2, 3].リュウグウが加熱による脱水を経験した天体ではなく,鉱物と水の反応が限定的で,彗星的天体であった場合には,リュウグウ試料にプレソーラー粒子が高濃度で含まれている可能性がある.分子雲や初期太陽系円盤外縁部に起源をもつと考えられる重水素や 15N に富んだ有機物についても同様の期待があり,超炭素質宇宙塵のように有機物に富む場合には,太陽系初期の低温起源有機物も多く含まれる可能性がある.

4 - 3. 初期太陽系物質進化

コンドライトは,全岩化学組成,鉄の酸化還元状態,酸素同位体などの違いで化学的に分類される.一部の隕石には化学グループの異なる岩片が入っていることが知られているが,小惑星規模で化学的多様性があるかどうかはわかっていない.「はやぶさ2」は表面二地点への着陸に成功し,試料回収オペレーションをおこなった.二地点からの回収試料の化学的・岩石学的・鉱物学的特徴から,小惑星の化学的多様性の有無を明らかにする.

また,コンドライトには,初期太陽系円盤で高温ガスの凝縮や,固体物質の高温溶融でつくられた難揮発性包有物(CAI)やコンドリュールが含まれる.それらの岩石学・鉱物学的観察,元素・同位体分析を組み合わせ,形成条件を制約するとともに,放射性同位体の壊変系を利用して形成年代を決定する.リュウグウ試料に含まれる初期太陽系円盤物質の形成年代は,リュウグウ母天体の形成年代の制約となる.

4 - 4. リュウグウ母天体での熱変成・水質変成

形成直後のリュウグウ母天体(微惑星)では,26Al などの短寿命放射性核種の壊変などで天体の加熱が起こりうる.母天体に H2O 氷が含まれていた場合には,氷が溶け,岩石と水との反応で含水鉱物が形成される.リュウグウ試料の鉱物組み合わせや組成,組織を調べることで,リュウグウ母天体で起きた熱や水による物質変成の有無や程度を解明する.また,放射壊変系を利用して,変成・変質年代を決定する.リュウグウはラブルパイル天体であることから [1, 2],表面試料には母天体の様々な深さで形成された岩石試料が混在している可能性もある.試料ごとの変成度などから,母天体での変成プロセス,構造や熱史について知見が得られることも期待される.

4 - 5. リュウグウの形成・進化・現在の地質活動

リュウグウがどのように形成され,進化してきたかを理解するためには,リュウグウ試料のバルク密度,強度,熱伝導率,アルベドなどの物性情報は有用である.これらの情報をもとに,リュウグウがラブルパイル天体であることの実証や「はやぶさ2」が観測した科学データの物質科学的意義付けが可能となる.衝突による衝撃変成や物質混合の証拠がある場合には,衝撃の規模の推定や(可能な場合)衝撃脈の年代測定などから,小惑星での衝突の歴史,ラブルパイル天体形成時期の考察をおこなうことができる.

小惑星イトカワ表面粒子の分析で,小惑星は現在においても,表面地質活動が続いていることが発見された [11, 23-25].リュウグウ試料に対しても,宇宙風化プロセス(太陽風イオンの撃ち込み)の有無や宇宙風化年代を決定する.また,宇宙線生成核種量からも粒子の表面滞在期間を求め,C 型小惑星での宇宙風化プロセスを初めて明らかにする.特に二回目の着陸では,SCI インパクトでのイジェクタとして,地下物質が採取されている可能性が高い.一回目の着陸時の回収試料との岩石学・鉱物学的差異や宇宙線生成核種量などを調べ,地下物質の同定をおこなう.地下物質と表面物質の違いからは,表面地質プロセスの考察が可能となる.例えば,表面から数十 cm 以上の深さでは太陽光加熱の影響が少ないため,太陽光が表面での脱水を引き起こした場合には含水鉱物量に差異が見られるかもしれない.

4 - 6. 海や生命の材料の進化の場としての小惑星

太陽系小天体の水や有機物は,地球の海や生命の材料物質となった可能性がある.これまで,炭素質コンドライト中の水素の D / H 比が地球の海の D / H 比と似ていることから,炭素質コンドライトが地球に水をもたらしたという議論がおこなわれてきた.炭素質コンドライトは C 型小惑星との関連が指摘されてきたが,リュウグウ試料の D / H 比から,C 型小惑星が地球の水の起源となりうるかどうかという議論が初めて可能となる.また,アミノ酸や糖などの生体関連分子にも注目し,生命材料物質の宇宙における最終進化の場としての小惑星の役割を明らかにする.

4 - 7. 分析体制

「はやぶさ2」サンプラーシステムの特徴により [6-8],初期分析で扱う試料を,mm サイズ程度の粗粒粒子,< 100 μm サイズ程度の細粒粒子,コンテナ内で採取されたガスとする.粗粒粒子はサンプルコンテナ内で着地点ごとに分けて,収納されるため,採取地点固有の情報や不均一性の議論が可能である.一方で,細粒粒子はサンプルキャッチャ内で混合の可能性があり,表面全体の平均的特徴や表面での地質プロセスである宇宙風化の評価などに用いる.また,コンテナから回収されるガス成分は,存在すれば,世界で初めての気体状態のリターンサンプルとなるが,試料中に含まれる揮発性有機物や表面から遊離する太陽風希ガスなどが得られる可能性があると考えている.

これらの試料の特徴を考慮して,分析チームには分析対象に応じた六つのサブチームを設けている.同位体分析・化学分析チーム(バルク元素・同位体分析,微小部同位体分析,年代測定),粗粒粒子に対する鉱物学・岩石学的研究チーム(非破壊三次元組織・鉱物分析,鉱物・組織記載,分光特性,粒子物理特性),細粒粒子に対する鉱物学的,岩石学的研究チーム(微細構造分析,宇宙風化,ならびに他チームへの試料準備ハブ),ガス成分分析チーム(太陽風希ガス,太陽宇宙線希ガス,銀河宇宙線希ガス,揮発性有機物,H2O),不溶性有機物分析チーム(化学組成・同位体組成(バルク,局所,官能基),構造),可溶性有機物分析チーム(分子元素組成,同位体組成,構造,光学異性体,生体関連分子)の六つのチームである.それぞれのチームを率いるのは,圦本尚義(北大),中村智樹(東北大),野口高明(九州大),岡崎隆司(九州大),薮田ひかる(広島大),奈良岡浩(九州大)である.各チームには海外からの研究者も参加し,国際チームとして,分析をおこなう.また.分析結果を統合し,リモートセンシング観測と連携したサイエンスを展開するための統合チームも組織し,分析チーム全体として,リュウグウ試料の詳細記載,「はやぶさ2」サイエンスへの物質科学からの貢献をおこなう.
 

5. まとめ

探査機「はやぶさ2」はリュウグウ表面ならびに地下浅部から採取された試料を2020年末,地球に持ち帰る.「はやぶさ2」が見たリュウグウは,典型的な隕石試料とは異なる物質でできている可能性がある.C 型小惑星とはなにか,私たちは初めて物質科学から明らかにすることができる.探査機による観測データとあわせ,リュウグウおよび太陽系の起源と進化に関する新たな制約をリターンサンプルから存分に引き出したい.
 

参考文献

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Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

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