NASA Artemis II SLS「ウェット・ドレス・リハーサルにおけるカウントダウン開始」

原文 : February 17. 2026 : Artemis II Wet Dress Rehearsal: Countdown Begins
 

Imahe caption :
2026年01月18日(日)、NASA ケネディ宇宙センター発射施設 39B において、Artemis(アルテミス)II SLS(スペース・ローンチ・システム)ロケットと Orion(オリオン)宇宙船が照明に照らされている。
Credit : NASA/Brandon Hancock
 

フロリダ州の NASA ケネディ宇宙センターで、Artemis(アルテミス)II ミッションのウェット・ドレス・リハーサルのカウントダウンが開始された。

カウントダウンは現地時間(EST)火曜日午後06時50分(L-49 時間 40 分前)に始まり、模擬打ち上げウィンドウ開始時刻である02月19日(木)午後08時30分までの間実施される。試験は02月20日(金)午前00時30分頃まで継続する見込み。

この試験では、打ち上げチームに加え、ヒューストンの NASA ジョンソン宇宙センターにあるミッション・コントロール・センターやその他の支援 NASA センターに配置された支援チームが、SLS(スペース・ローンチ・システム)ロケットのタンクへの極低温液体推進剤の充填、打ち上げカウントダウンの実施、カウントダウン時計のリサイクル能力の検証、タンクの排水による打ち上げ中止手順の練習など、一連の操作を実行する。これらの手順により、チームは打ち上げ当日に万全の準備を整えることが保証される。

並行して、チームはウェット・ドレス・リハーサルの成功後、モバイル・ランチャーに仮設プラットフォームを設置する準備を進めており、関連機器をランチャー付近に配置している。これらのプラットフォームにより、技術者は固体ロケット・ブースターの上部左右セグメントおよびコア・ステージ間タンク内の飛行中止システム要素の点検作業が可能となり、03月の打ち上げ機会を見据えた東部発射場安全要件を満たすためのシステム試験を実施する。

発射台上のロケットを 24 時間体制で中継するライブ・ストリームは継続中。NASA は別途、燃料注入作業を捉えた映像を提供し、燃料注入当日の試験状況についてはリアルタイムでブログ更新を行う。
 

カウントダウンのマイルストーン

カウントダウンには「L マイナス」と「T マイナス」の時間が含まれる。
「L マイナス」は打ち上げまでの残り時間を時間と分単位で示す。
「T マイナス」時間はカウントダウンに組み込まれた一連のイベント。打ち上げチームが正確な打ち上げウィンドウを狙えるように、また特定の作業や手順に余裕を持たせつつ全体のスケジュールに影響を与えないように、カウントダウンには一時停止(「ホールド」)が組み込まれている。計画されたホールド中は、カウントダウン時計が意図的に停止し、T- 時間も停止する。ただし L- 時間は進み続ける。

リハーサル中、チームは詳細なカウントダウン手順を実行する。打ち上げ 1 分 30 秒前に最大 3 分間停止した後、打ち上げ 33 秒前まで再開し、再び停止する。その後、時計を T-10 分まで巻き戻し、約 T-33 秒まで第 2 の最終カウントダウンを実施した後、シーケンスを終了する。このプロセスは、技術的問題や気象条件による打ち上げ中止を含む実戦状況を模擬する。試験終了後、チームは推進剤を排出し、全データを検証した上で正式な目標打ち上げ日を設定する。

アルテミス II の搭乗員はウェット・ドレス・リハーサルには参加しないが、打ち上げ当日に発生する搭乗員関連の主要イベントは試験スケジュールに組み込まれ、アルテミス閉鎖作業班は閉鎖作業(オリオン乗員モジュールおよび打ち上げ中止システムのハッチ閉鎖を含む)を演習する。

以下は、カウントダウン開始後の各主要イベントで発生する主な事象。
すべての時間は、これらの主要イベントが発生すると予想されるおおよその時刻。

L - 49 時間 50 分(カウントダウン中)

・打ち上げチームが各ステーションに到着し、カウントダウンが開始される(L - 49 時間 50 分)
・カウントダウン時計が動き出す(L - 49 時間 40 分)
・液体酸素(LOX)/液体水素(LH2)システムの車両搭載準備(L - 48 時間 45 分~L - 39 時間 45 分)
・オリオン宇宙船は、配置指示時点で未だ通電されていない場合、この時点で通電される(L - 45 時間 30 分~L - 44 時間)
・コア・ステージの電源投入(L - 42 時間 20 分~L - 41 時間)
・中間極低温推進段(ICPS)の電源投入(L - 42 時間 10 分~L - 40 時間 39 分)
・4 基の RS-25 エンジンの最終準備(L - 39 時間 45 分~L - 35 時間 30 分)

L - 35 時間(カウントダウン中)

・ICPS の電源を遮断(L - 34 時間 45 分~L - 34 時間 10 分)
・オリオン飛行用バッテリーを 100 % 充電(L - 33 時間 30 分M~L - 29 時間 30 分)
・コア・ステージ飛行用バッテリー充電(L - 31 時間 30 分~L - 24 時間 30 分)
・ICPS の起動(打ち上げ準備)(L - 20 時間 15 分~L - 18 時間 45 分)

L - 16 時間(カウントダウン中)

・非必須要員は全員、ローンチ・パッド 39B を離脱(L - 15 時間 30 分~L - 13 時間 30 分)
・空気から窒素ガス(GN2)への切り替えおよび車両キャビティ不活性化(L - 14 時間 15 分~L - 12 時間 05 分)
・地上発射シーケンサー(GLS)起動(L - 13 時間 45 分~L - 12 時間 15 分)

L - 12 時間(カウントダウン中)

・2 時間 45 分のカウントダウンホールド (L - 12 時間 35 分~L - 9 時間 50 分)
・打ち上げチームがロケット燃料注入開始の「ゴー」か「ノーゴー」を決定(L - 10 時間 50 分)
・オリオンのコールド・ソーク(L - 10 時間 50 分~L - 9 時間 35 分)
・コア・ステージ LOX 移送ライン冷却(L - 10 時間 40 分~L - 9 時間 32 分 50 秒)
・コア・ステージ LH2 冷却(L - 10 時間 40 分~L - 9 時間 55 分)
・コア・ステージ LOX 主推進システム冷却(L - 10 時間 20 分~L - 9 時間 40 分)

L - 10 時間(カウントダウン中)

・コア・ステージ LH2 低速充填開始 (L - 9 時間 55 分~L - 9 時間 35 分)
・T - 8 時間 10 分から T - クロック再開 (L - 9 時間 50 分)
・コア・ステージ LOX スロー・フィル (L - 9 時間 45 分~L - 9 時間 30 分)
・コア・ステージ LH2 ファスト・フィル (L - 9 時間 35 分~L - 8 時間 10 分)
・コア・ステージ LOX ファスト・フィル(L - 9 時間 30 分~L - 7 時間 10 分)
・ICPS LH2 冷却ダウン(L - 9 時間 15 分~L - 8 時間 45 分)
・ICPS LH2 高速充填開始 (L - 8 時間 45 分~L - 7 時間 55 分)
・ICPS LOX 主推進システム冷却 (L - 8 時間 10 分~L - 7 時間 10 分)
・コア・ステージ LH2 補充 (L - 8 時間 10 分~L - 8 時間)
・コア・ステージ LH2 再補充(L - 8 時間~打ち上げまで)
・ICPS LH2 ベント・リリーフ試験(L - 7 時間 55 分~L - 7 時間 40 分)
・ICPS LH2 タンク充填開始(L - 7 分 40 分~L - 7 時間 25 分)
・ICPS LH2 補充(L - 7 時間 25 分~打ち上げまで)
・オリオン通信システム起動(L - 6 時間 45 分~L - 6 時間 15 分)
・コア・ステージ LOX 充填開始(L - 6 時間 40 分~L - 6 時間 05 分)
・ICPS LOX高速充填(L - 6 時間 30 分~L - 5 時間 45 分)
・ターミナル・カウントダウン開始: コア・ステージLOX補充(L - 6 時間 05 分)

L - 6 時間(カウントダウン中)

・ICPS LOX ベント・リリーフ試験 (L - 5 時間 45 分~L - 5 時間 30 分)
・ICPS LOX 補充(L - 5 時間 30 分~L - 5 時間 10 分)
・ステージ・パッド救出(L - 5 時間 40 分)
・クローズアウト・クルー集合(L - 5 時間 40 分)
・ICPS LOX 補充(L - 5 時間 10 分~打ち上げまで)
・全段補充(L - 5 時間 10 分)
・1 時間 10 分間の組み込み待機開始 (L - 5 時間 10 分)
・クローズアウト・クルーがホワイト・ルームへ (L - 4 時間 40 分~L - 4 時間 25 分)
・クルー・モジュール・ハッチ準備及び閉鎖(L - 4 時間 30 分~L - 4 時間 20 分)
・カウンター・バランス機構ハッチ・シールプレス減衰検査(L - 4 時間 20 分~L - 3 時間 20分)
・クルー・モジュール・ハッチ・サービス・パネル設置/閉塞作業(L - 3 時間 20 分~L - 2 時間 40 分)
・飛行用発射中止システム(LAS)ハッチ閉鎖(L - 2 時間 50 分~L - 2 時間 25 分)
・発射ディレクター・ブリーフィング - 飛行体 / TPS スキャン結果(CICE 付)(L - 1 時間 10 分)
・クローズアウト・クルーが 39B 発射施設を離脱(L - 1 時間 45 分~L - 1 時間 40 分)

L - 40 分(待機中)

・30 分間隔のカウントダウン待機開始(L - 40 分)

L - 25 分(待機中)

・組み込み待機:最終 NTD ブリーフィング後、オリオンから地球への通信ループ移行チーム(L - 25 分)
・組み込み待機:発射責任者がチームに確認し、発射準備完了を保証(L - 16 分)

T - 10 分(最終カウントダウン開始)

・地上発射シーケンサーが最終カウントを開始(T - 10 分)
・乗員アクセス・アーム格納(T - 8 分)
・GLS がコア・ステージ・タンク加圧を実行(T - 6 分)
・オリオンが内部電源に切り替え(T - 6 分)
・コア・ステージ LH2 補給終了(T - 5 分 57 秒)
・GLS がコアステージ補助動力装置(APU)起動を許可(T - 4 分)
・コア・ステージ APU 起動(T - 4 分)
・コア・ステージ LOX 補給終了(T - 4 分)
・ICPS LOX 補給終了(T - 3 分 30 秒)
・GLS パージ・シーケンス 4 実行許可(T - 3 分 10 秒)
・ICPS 内部バッテリー電源切替(T - 2 分 02 秒)
・ブースター内部バッテリー電源切替(T - 2 分)
・コアステージ認証保持時間を確認するため 3 分間待機(T - 1 分 30 秒)
・コア・ステージ内部電源切替(T - 1 分 30 秒)
・ICPS が最終カウントダウン・モードに入る(T - 1 分 20 秒)
・ICPS LH2 補給終了(T - 50 秒)
・GLS が「自動発射シーケンサー実行」コマンド送信(T - 33 秒)
・GLS カットオフ/リサイクル(T - 33 秒)
 

ターミナル・カウントダウン中、チームは必要に応じてカウントを保留するいくつかの選択肢を持つ。

打ち上げチームは、打ち上げウィンドウの期間中、打ち上げに必要な 6 分を除き、6 分でカウントを保留できる。この場合、10 分までカウントをリセットする必要はない。
T-6 分からT-1 分 30 秒の間に停止が必要な場合、最大 3 分間停止後、打ち上げに向けてカウントを再開できる。3 分を超える停止時間が必要な場合、カウントダウンは T-10 分に戻される。
T-1 分 30 秒以降、自動発射シーケンサーが制御を引き継ぐ前に時計が停止した場合、十分な発射可能時間が残っている限り、チームは T-10 までリセットして再試行できる。
発射当日、自動発射シーケンサーへの引き継ぎ後は、カウントダウンを停止させるいかなる問題も、その日の発射試行を終了させることになる。
 

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アルテミス計画の全貌については、以下で特集しております。

NASA SLS アルテミス II ミッション
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office