皆さんから届いた質問とその回答 - Q & A
プロジェクト(サイエンス関連含む)に関する質問
JAXA Hayabusa2 Project
プロジェクト(サイエンス関連含む)に関する質問 Vol. 01
Q. はやぶさ2をリュウグウの極軌道に載せれば、常に発電しながら地表全体を観察できると思いますが、重力が小さ過ぎて周回軌道に載せる事自体が難しいのでしょうか?
周回ではなくホームポジションに置くわけですが、ホームポジションは太陽とリュウグウのラグランジュ点ではありませんよね。リュウグウへの落下を止めるためのΔVはどれくらい必要でしょうか?
December 31, 2018 - 明島淳吾 : 55才
A. はい、リュウグウは重力が弱いので周回軌道に入れるよりもホバリングをした方が楽です。もちろん周回軌道に入れることもあり得ますが、周回軌道に入れたとしても、制御が頻繁に必要となり、むしろホバリングをしていた方が制御の量が少ないことになります。リュウグウから遠い方がその引力の影響は少なくなりますが、リュウグウの観測がしにくくなります。
ホームポジションの高度 20 km というのは、リュウグウからの引力は小さく、かつ観測もできる距離として選ばれました。ホームポジションはラグランジュ点ではありませんが、リュウグウからの引力は十分小さくなります。リュウグウからの引力よりも太陽輻射圧の方が強いので、軌道制御は太陽輻射圧の影響をキャンセルするように行っています。制御量は、非常に微小です。
(ちなみに、ラグランジュ点だとしても制御は必要になります。)
Q. ミネルバの着陸成功おめでとうごさいます。
関連する紹介記事中の動画"ミネルバ2が、小惑星リュウグウ上をモーターの力でホップする様子のイメージ動画(提供:JAXA)"で空想を楽しむのですが、"1 回のホップで最大 15 分ほど滞空し、水平方向に約 15 m 移動する"との注釈などを考えると、この提供動画は微弱重力場の出来事を必ずしも表現しきれていないかとの疑問を持ちました(本当はスロー過ぎて動画にならない?)。
また、モーターによる反発力が微弱重力に適度な対応値に設定されていれば、着地時の太陽電池へのダメージは「無視」できる程度ではないのかしらとも思ってしまいます。長時間の活躍が期待できると思っておりますが如何でしょうか?
今一つ、撮影された画像の”ブレ”についてそんなに激しいジャンプなのか?カメラの感度不足からのシャッタースピードを速くできない?飛びながらの撮影を想定しておられただろうに、何故ブレる?
絵としては”味”、”臨場感あふれる”ものですが、探査機能としては如何なものかと考えてしまいました。それとも初期の撮影として意図的なシャッタースピードの選択がなされているものでしょうか?
December 31, 2018 - 渋谷伸一 : 69才
A. 探査機に関する動画は、実際のスピードにすると遅すぎたり早すぎたりしてしまいますので、分かりやすい速度に変更して描かれることが多いです。
ミネルバ2-1の動画につきましては、実際の動きをかなり早回して描いています。太陽電池へのダメージは、着時のスピードに関しては大きなものにはならないですが、岩の角にぶつかったりして徐々に影響がでてくる可能性があります。写真のブレについては、シャッタースピードの設定によりますが、ミネルバII1の姿勢は意図した方向に向けることはできませんので、分離直後は小惑星方向を撮影することもあれば逆方向を撮影することもあります。そのために、適切な設定をすることは難しいです。
リュウグウに降りてからはシャッタースピードをうまく調整して、きれいな写真が撮影されています。
Q. はやぶさ2の活動を興味を持って見守っております。その技術力の高さには敬服いたします。
質問は、極めて初歩的なものですみませんが、宇宙空間での位置決めに使用している座標軸はどのようにとっているのかということです。恒星を幾つか取って、ということを聞いたことがありますが、もう少し詳しいことを知りたく質問いたします。
December 31, 2018 - Old Tomy : 74才
A. 探査機の軌道計算をするときには、あらかじめ座標を決めておく必要があります。座標にはいろいろな取り方がありますが、座標が異なるときには相互に変換できますので、原理的にはどの座標を使っても問題はありません。惑星探査機の場合には、原点を太陽にした赤道座標系を使うことが多いです。赤道座標系とは、天の赤道(地球の赤道を天球に延長したもの)が緯度に相当するものを 0 度と見なします。そうすると、緯度が 90 度の方向付近に北極星が位置することになります。
一方、経度に相当する方の原点は、春分点の方向にします。春分点とは、天の赤道と黄道(天球上の太陽の通り道)との交点のひとつです。交点は二つありますが、黄道が南から北へ交わる方(現在はうお座の方向)です。
このように、座標軸を定義することができるのですが、天の赤道や黄道の位置はだんだん動いていきます。なので、どの時刻の位置を使うかもあらかじめ決めておきます。
Q. マスコットは何故太陽電池を搭載しなかったのですか?折角到達する事さえ困難な衛星まで行くのに、16時間しか観測できないなんて勿体無い気がしてしょうがありません。
重量、影、マスコットの構造など幾つかの理由は推測できますが、あの様な仕様に決定したプロセスや大きな要因が知りたいです。宜しくお願いします。
October 12, 2018 - センゲレマ : 40才
A. これはMASCOTチームに確認する必要がありますが、16時間あれば、表面の2カ所でデータを取得するのに十分なのだと思います。MASCOTチームに確認してみますので、回答があればお知らせします。
Q. リュウグウの岩石の存在がとても多いように思われます。危険を避けて、タッチダウンより先に、ローバーやマスコットを投下するのが良いように考えられますが如何でしょうか?
October 12, 2018 - 匿名 : 69才
A. はい、現在の予定では、MINERVA-Ⅱの1という2つのペアになっている小型ローバを最初に降ろして、次にMASCOTを降ろす予定です。タッチダウンはその後に行います。MINERVA-Ⅱの2という方は、ミッションの最後の頃に降ろす予定にしています。
Q. はやぶさ2は何故リュウグウを目指しているのか?
August 12, 2018 - ははは:14才
A. 「はやぶさ2」は「はやぶさ」で行った世界初の小惑星サンプルリターンの技術をより確実なものにすることを目指していますが、今回は科学的な目標がより重要です。その科学的目標とは、惑星が生まれたころ(今から約46億年前)にどのような有機物があったのか、ということです。リュウグウはC型に分類される小惑星ですが、C型の小惑星の表面物質には有機物が含まれていると考えられています。リュウグウは、「はやぶさ2」の能力で地球から往復できる軌道にあり有機物の研究もできそうなので選ばれました。
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