NASA Artemis II SLS「Artemis(アルテミス)II 飛行クルーとチーム、打ち上げ前に実証実験を実施」

原文 : December 23, 2025 : Artemis II Flight Crew, Teams Conduct Demonstration Ahead of Launch
 

NASA の打ち上げ・ミッションチームと Artemis(アルテミス)II の搭乗員は、来年早々に予定される月周回飛行に先立ち、12月20日に重要な試験であるカウントダウン実証試験を完了した。宇宙飛行士たちは打ち上げ・飛行管制チームの支援を受け、打ち上げ用・帰還用スーツを着用し、フロリダ州ケネディ宇宙センター(KSC)で巨大なロケット頂部に設置された宇宙船に乗り込み、打ち上げ日程のタイムラインを検証した。

打ち上げ直前までの時計を巻き戻すこのリハーサルにより、NASA チームは アルテミス II 試験飛行の打ち上げに向けて各チームが取る正確な手順を練習することができた。

「この実証試験は、アメリカが打ち上げ台へ向かう旅路における重要な節目を示すものだ。まだ多くの課題が残されているが、NASA の野心的な月探査の遺産を継承する中で、チームが示した専門性と精密さに私は勇気づけられている。」と、NASA 長官である Jared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)は述べている。

ケネディ宇宙センター(KSC)の発射管制センターの射撃室では、打ち上げ当日と同じ手順で打ち上げチームが準備を進めている一方、アルテミス II の搭乗員である NASA の Reid Wiseman(リード・ワイズマン)司令官、Victor Glover(ビクター・グローバー)操縦士、ミッション・スペシャリストの Christina Koch(クリスティーナ・コック)、および CSA(カナダ宇宙庁)のミッションスペシャリスト、Jeremy Hansen(ジェレミー・ハンセン)は、ケネディ宇宙センターの Neil A. Armstrong(ニール・A・アームストロング)運用・点検棟内の宇宙飛行士居住区で、オリオン搭乗員生存システムの宇宙服を着用した。
 

Imahe caption :
NASA の宇宙飛行士、アルテミス II のパイロットである Victor Glover(ビクター・グローバー)、アルテミス II の司令官である Reid Wiseman(リード・ワイズマン)が、2025年12月20日(土)、NASA KSC で実施されたカウントダウン実証試験の一環として、Neil A. Armstrong(ニール・A・アームストロング)運用・点検棟内の乗員室スーツアップ・ルームで宇宙服のチェックを受けている。
Credit : NASA/Glenn Benson
 

宇宙服を着用したクルーは、過去 60 年間にフロリダ州 Space Coast(スペース・コースト)から打ち上げられたジェミニ計画、アポロ計画、スペースシャトル、商業有人宇宙計画の宇宙飛行士たちと同じ道を歩んだ。着衣室を抜け、廊下を進み、エレベーターで短時間移動した後、アルテミス II のクルーは数十枚の人類宇宙飛行ミッション・パッチが貼られた両開きのドアから建物を出た。

アルテミス宇宙飛行士用バンが待機しており、乗組員を SLS(スペース・ローンチ・システム)ロケットまで運んだ。実際の打ち上げ日には、四人の宇宙飛行士は打ち上げ前に KSC の打ち上げ施設 39B まで 20 分間の移動を完了する予定だ。しかし今回はカウントダウン試験のため、目的地は KSC のロケット組立棟(VAB)内ハイベイ 3 だ。アルテミス II 月周回ロケットは発射台への搬出前に、ここで最終組立・点検作業を受けている。支援車両の隊列に加え、アルテミス II の予備クルーである NASA 宇宙飛行士 Andre Douglas(アンドレ・ダグラス)と CSA 宇宙飛行士 Jenni Gibbons(ジェニー・ギボンズ)が、クルーを目的地まで護衛した。
 

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右から、NASA の Reid Wiseman(リード・ワイズマン)司令官、Victor Glover(ビクター・グローバー)操縦士、ミッション・スペシャリストの Christina Koch(クリスティーナ・コック)、および CSA(カナダ宇宙庁)のミッションスペシャリスト、Jeremy Hansen(ジェレミー・ハンセン)が、2025年12月20日(土)、NASA KSC(ケネディ宇宙センター)で、アルテミス II カウントダウン実証試験の一環として、ニール・A・アームストロング運用・点検棟を出発し、車両組立棟内の NASA の SLS ロケット上にあるオリオン宇宙船に乗り込む様子。
Credit : NASA/Aubrey Gemignani
 

建物への短い移動の後、飛行クルーは移動式発射台のエレベーターで約 300 フィート(約 91 メートル)昇り、クルー・アクセス・アームとホワイト・ルーム(宇宙船への搭乗エリア)に到着した。搭乗クルーが問題なく宇宙船に入ることを保証する任務を担うクローズアウト・クルーが、宇宙飛行士たちが「Integrity(インテグリティ)」と命名した Orion(オリオン)宇宙船への搭乗を支援した。クローズアウト・チームは宇宙飛行士を座席に固定する作業を支援し、全てのクローズアウト作業完了後にハッチを閉鎖した。搭乗員がオリオン宇宙船に安全に収容されると、各チームは打ち上げ当日に実施するのと同様の宇宙服の気密検査と通信チェックを実施した。
 

Imahe caption :
右から、カナダ宇宙庁(CSA)宇宙飛行士ジェレミー・ハンセン(ミッションスペシャリスト)、NASA 宇宙飛行士ビクター・グローバー(パイロット)、 クリスティナ・コック(ミッションスペシャリスト)。2025年12月20日(土)、NASA KSC 内のロケット組立棟で行われたアルテミス II カウントダウン実証試験において、移動式発射台の 275 フィート(約 84 メートル)レベルでエレベーターを降り、搭乗員アクセス・アームへ向かって歩く途中、NASA の月周回ロケット頂部に設置されたオリオン宇宙船への搭乗準備をする様子。
Credit : NASA/Joel Kowsky
 

試験期間中、各チームは打ち上げ当日の最終5.5時間の手順を実行し、打ち上げ予定時刻の約30秒前にカウントダウン試験を完了した。打ち上げ当日に遭遇する可能性のある状況と同様に、試験中は音声通信や環境制御・生命維持システムの最終点検作業など、複数のリアルタイム課題に対処した。全ての目標が達成され、このカウントダウン実証試験は打ち上げ当日の構成で運用を実施する貴重な機会となり、打ち上げ当日の初動対応における未知の課題を最小限に抑えることができた。
 

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Charlie Blackwell-Thompson(チャーリー・ブラックウェル=トンプソン、NASA アルテミス打ち上げ責任者)は、12月20日(土)、KSC 内の Rocco A. Petrone(ロッコ・A・ペトローネ)発射管制センター第 1 発射管制室より、オリオン宇宙船に搭乗したアルテミス II クルーと共に、アルテミス II カウントダウン実証試験の進捗状況を監視している。
Credit : NASA/Glenn Benson
 

アルテミス II チームの打ち上げカウントダウン試験の一部は過去にも実施されてきたが、今回の試験は搭乗員とオリオン宇宙船が打ち上げ構成で臨んだ初の完全なエンドツーエンドの試験であった。乗組員はロケットが発射台に到着後、緊急時対応に焦点を当てた追加のカウントダウン試験に参加する予定だ。

革新と探査の黄金時代の一環として、アルテミス II 月周回試験飛行は NASA のアルテミス計画における初の有人ミッションである。これは月面での新たな米国有人ミッションに向けた新たな一歩であり、同機関が米国宇宙飛行士を火星に着陸させる準備を整える助けとなる。
 

アルテミス計画の全貌については、以下で特集しております。

NASA SLS アルテミス II ミッション
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office