NASA Artemis II SLS「さあ月へ向かうぞ!NASA Artemis(アルテミス)最終搭乗支援クルーを紹介」

原文 : December 23, 2025 : Get In, We´re Going Moonbound: Meet NASA´s Artemis Closeout Crew
 

大半の人にとって、車に乗ることは誰の助けも借りずにできる作業だ。しかし目的地が月である者たちにとって、安全を確保して乗り込むプロセス(この場合は Orion(オリオン)宇宙船内)には支援が必要となる。それが Artemis(アルテミス)最終搭乗支援クルーの役割だ。
 

アルテミス II および将来の月探査ミッションを支援するために訓練を受けた五名のクローズアウト・クルーは、NASA の Reid Wiseman(リード・ワイズマン)司令官、Victor Glover(ビクター・グローバー)操縦士、ミッション・スペシャリストの Christina Koch(クリスティーナ・コック)、および CSA(カナダ宇宙庁)のミッションスペシャリスト、Jeremy Hansen(ジェレミー・ハンセン)が月への旅に出る前に、彼らと最後に顔を合わせる人々となる。

アルテミス II ミッション・クローズアウト・チームは、リーダーの Taylor Hose(テイラー・ホース)、宇宙飛行士支援担当の Andre Douglas(アンドレ・ダグラス)宇宙飛行士、オリオン乗組員 Survival System Spacesuits(生存システム宇宙服)の専門訓練を受けた技術者 Bill Owens(ビル・オーウェンズ)、オリオン技術者の Christian Warriner(クリスチャン・ウォリナー)と Ricky Ebaugh(リッキー・イーボー)の五名で構成される。

「宇宙飛行士を宇宙船に固定し、宇宙服への接続をすべて完了させた後にハッチを閉め、オリオン宇宙船の閉鎖作業を完了させて打ち上げに備える」と、リーダーのホースは言う。

彼らを自動車レースのピット・クルーのような存在と考えるのが妥当だろう。
 

打ち上げ当日に宇宙飛行士がフロリダ州の NASA KSC(ケネディ宇宙センター)にある発射施設 39B に到着すると、クローズアウト・クルーは既に待機している。まずチームは、宇宙飛行士がオリオン宇宙船に入る前にヘルメットとグローブを着用するのを支援する。
 

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閉鎖作業班リーダーのテイラー・ホース(左から二番目)が NASA 宇宙飛行士アンドレ・ダグラス(右から二番目)と会話する様子。閉鎖作業班メンバーのウィル・サトラー(左)とクリスチャン・ウォリナーと共に、アルテミス II ミッション搭乗員である NASA 宇宙飛行士リード・ワイズマン(司令官)、ビクター・グローバー(操縦士)、 ミッションスペシャリストのクリスティーナ・コック、カナダ宇宙庁(CSA)宇宙飛行士でミッションスペシャリストのジェレミー・ハンセンを迎える準備をしている。2025年12月20日土曜日、NASA ケネディ宇宙センターのロケット組立棟(VAB)内で実施されたアルテミス II カウントダウン実証試験中、移動式発射台(MLS)の 275 フィート・レベルで、NASA のスペース・ローンチ・システム(SLS)ロケット頂部に搭載されたオリオン宇宙船への搭乗準備を行う様子。
Credit : NASA/Joel Kowsky
 

内部に入るとオーウェンズとダグラスは、各搭乗員のシートベルト装着を支援する。ただし自動車のように単一のシートベルトではなく、搭乗員はさらに複雑な接続を複数必要とする。各座席には宇宙飛行士をクルー・モジュール内に固定する五本のストラップに加え、搭載された環境制御・生命維持システムおよび通信システムへの追加接続が複数備わっている。

宇宙飛行士の固定が完了すると、ハッチ技術者は宇宙船ハッチの閉鎖を開始する。ハンドルを引けば簡単に開閉する自動車のドアとは異なり、オリオンのハッチは確実に閉じるためにより多くの力を要する。

「ハッチは空気圧駆動式のため、エアラインを接続する必要があり、閉鎖には地上支援システムの協力が不可欠だ」とホースは述べた。
 

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クローズアウト・クルーのビル・オーウェンズが、アルテミス II の搭乗員であるカナダ宇宙庁(CSA)宇宙飛行士ジェレミー・ハンセン(ミッションスペシャリスト)、NASA宇宙飛行士リード・ワイズマン(司令官)、 ビクター・グローバー(パイロット)、クリスティーナ・コック(ミッションスペシャリスト)を率いる様子が捉えた写真。2025年12月20日土曜日、NASA ケネディ宇宙センター内のロケット組立棟で行われたアルテミス II カウントダウン実証試験において、NASA のスペース・ローンチ・システム(SLS)ロケット頂部に搭載されたオリオン宇宙船への搭乗準備のため、移動式発射台(MLS)のクルー・アクセス・アームへ向かうエレベーター内で撮影された。
Credit : NASA/Joel Kowsky
 

打ち上げ当日、搭乗員がオリオン内部に配置され、乗員モジュール・ハッチと外部発射中止システム・ハッチの両方を密閉するクローズアウト・プロセスが完了するまでには約 4 時間を要する。ハッチ・ドア内に髪の毛一本でもあれば、いずれかのハッチ閉鎖に支障をきたす可能性があるため、このプロセスは慎重に行われる。

「シール部分だけで多くの作業がある。グリーシング、清掃、ハッチカバーの取り外しなど。その後、乗員モジュール・ハッチの閉鎖に入る」とホースは説明した。
「ハッチをラッチした後、窓カバーを外し、熱防護パネルを取り付け、発射時および上昇時に乗員モジュールを保護するオジャイブ・パネル(宇宙船の乗員モジュール(CM)を打ち上げ時の過酷な音響・振動環境や、緊急脱出システム(LAS)の噴射ガスから保護するために取り付けられる、流線形のカウル(覆い)のパネル部分)と車両の間に設置されたパージ・バリアを取り外す」

チームはその後、打ち上げ中止システムのハッチを閉じ、打ち上げ前の最終準備を完了する。中止システム・ハッチの閉鎖後、クローズアウト・クルーは発射台を離れるが、何らかの理由で戻らなければならない場合に備え、発射台近くで待機する。
 

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テイラー・ホースは、アルテミス II の搭乗員(NASA宇宙飛行士:指揮官 リード・ワイズマン操縦士 ビクター・グローバー ミッションスペシャリストのクリスティーナ・コック、カナダ宇宙庁(CSA)宇宙飛行士でミッションスペシャリストのジェレミー・ハンセン)を迎え入れる準備を進める。2025年12月20日(土)、NASA ケネディ宇宙センター内の車両組立棟(VAB)で行われたアルテミスIIカウントダウン実証試験において、移動式発射台の高さ 275 フィート地点で、スペース・ローンチ・システム(SLS)ロケット頂部に設置されたオリオン宇宙船への搭乗に備える。
Credit : NASA/Joel Kowsky
 

「私の人生の目標は宇宙飛行士になることだった。1972年以来、初めて人類を月へ送り、単なる訪問ではなく今回は滞在させることに貢献すること。それが今の私の全て。これは火星へ行き、太陽系へ進出するための最初の足がかりとなるのだ」とホースは言う。

打ち上げ後、複数のチーム・メンバーがサンディエゴへ向かい、ミッション終了後の着水後の作業を支援する。

革新と探査の黄金時代の一環として、アルテミス II 月周回試験飛行は NASA Artemis(アルテミス)計画における初の有人飛行となる。これは月面での新たな米国有人ミッションに向けた新たな一歩であり、同機関が初の宇宙飛行士(米国人)を火星へ送る準備を進める上で役立つ。
 

アルテミス計画の全貌については、以下で特集しております。

NASA SLS アルテミス II ミッション
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office