Space Topics 2025
NASA Blogs (Ja) 日本語訳解説
NASA Artemis(アルテミス)・サイエンス・チームがフライト・コントロール・ルームを開設
NASA Artemis II SLS「NASA Artemis(アルテミス)・サイエンス・チームがフライト・コントロール・ルームを開設」
原文 : June 13, 2025 : NASA´s Artemis Science Team Inaugurates Flight Control Room
06月上旬、NASA Artemis(アルテミス)II 月科学チームは、ヒューストンのジョンソン宇宙センター(JSC)に新設された科学評価室(SER)で初のミッション・シミュレーションを実施した。科学チームはこのシミュレーションを通じ、アルテミス II および将来の有人月着陸ミッションにおける月科学活動の主導体制を検証した。
この初シミュレーションはアルテミス科学運用における重要な節目となった。Christopher C. Kraft Jr. Mission Control Center(クリストファー・C・クラフト・ジュニア・ミッション・コントロール・センター)内に設置された SER は、月科学および惑星観測のためのミッション主要飛行管制室を支援する。アルテミス・ミッションの科学的優先事項を念頭に特別に建設された SER は、迅速なデータ解釈、共同分析、リアルタイムでの意思決定、科学チームと運用チーム間のシームレスな連携を支援する設備を備えている。
「科学をミッション運用環境に直接組み込むことで、NASA はアルテミスによる発見を最大化できる」と、メリーランド州グリーンベルトにある NASA ゴダード宇宙飛行センターのアルテミス II 月科学責任者兼主任科学官 Kelsey Young(ケルシー・ヤング)は述べた。
「数年にわたる計画とテストを経て、SER と共同チームがこれほど見事に機能する姿を見て、月へ戻った際に達成する科学成果にさらに胸が高鳴る」
アルテミス II 搭乗の宇宙飛行士は、月を周回して戻る 10 日間のミッション中に月を観測し、写真撮影と目視記録を行う。これらの観測は科学目標を支援し、将来の月ミッションにおける着陸候補地点のデータを提供する。
チームは過去にもシミュレーションを実施してきたが、アルテミス・ミッションで実際に使用する科学支援室内で月科学と惑星観測に焦点を当てたのは今回が初めてである。これにより、技術やプロセス、科学支援室の設置を実環境下で検証する機会を得た。科学チームは、撮影対象の優先順位付け、観測タイムラインの作成、リアルタイムでのデータ処理といったプロセスをテストした。
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アルテミス II 月科学チームは、ミッション・コントロールのバック・ルームとして機能する新設の科学評価室(SER)で月面観測運用シミュレーションを実施している。
Credit : NASA/Robert Markowitz
SER(科学評価室)の革新的なレイアウトは、連携と意思決定の強化を目的としている。部屋の中央には大型タッチスクリーンテーブルが設置され、特定の科学目標達成に注力する少人数の科学者グループ「スクラム・チーム」の拠点となっている。スクラム・チームを U 字型に取り囲む「トレンチ」には、データ可視化、地理学、乗組員画像、タイムライン管理の専門家が配置される。トレンチの後方には科学運用支援チームのリーダー陣が並ぶ。最前列は室内の活動を統括する SER リーダー、その隣は SER 通信担当(SER Com)で、ミッション・コントロールの飛行管制室にいる科学担当官との連絡窓口を単独で担う。追加ステーションは乗組員月面観測チームと IT 資産管理を支援する。
技術的能力に加え、SER には鼓舞を意図した視覚的デザイン要素も組み込まれている。天井近くの大胆な青色ラインは地球を象徴し、グレー・青・赤の模様が施された床カーペットは月を構成する主要鉱物であるアノーサイト結晶構造の二次元投影を描いている。これら全体が、月面に立ち地球を振り返る感覚を創出する。
アルテミス計画の全貌については、以下で特集しております。
Akira IMOTO
Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

