The Planetary Society of Japan

ブラウン惑星人の日々 May 2018

はやぶさ2国際合同科学チーム会議開催

POSTED BY: Takahiro Hiroi | DATE: May 15, 2018

まるで初夏のような暑さの大阪からお便りします。前回予告したとおり、明後日までの予定で帰国しています。今回は、阪大で2度の実験・研究打ち合わせと、宇宙研でも宇宙風化実験の仲間との打ち合わせと、はやぶさ2国際合同科学チーム会議(HJST)、そして武生高校・鳥取西高校・米子高専・米子東高校、そして高知の佐々木理数塾で講演をしてきました。ゴールデンウィークにあたったこともあり、その他に、甲府・池袋・山形・高崎・名古屋・京都にも行って多くの人と会ってきました。

福井の名門武生高校では、その歴史を感じさせる講堂で一学年と理数科の生徒に講演してよい反応を得、鳥取西高では予想以上の数の生徒が集まり談話会も持ち、米子高専ではリベラルアーツの一環としてぴったりの内容であり、米子東高では生徒の数は少なかったものの父兄や先生方も来られ、TV局が取材に来ました。副校長先生や理科の先生方とも懇親会を持つことができました。そして最後に、300名以上の生徒を持つ高知の佐々木理数塾では難関大学を目指す生徒や父兄が来られて多くの質問を受けました。

ただ今回の帰国の一番のハイライトは何といっても小惑星リュウグウに着く前の最後のHJSTでした。写真にあるように、日本と欧米の科学者たちが一堂に集まって、最後の調整をする会議で、どうやって着陸地点を選ぶか、いつだれが論文を出すか、データはどこまで共有できるか、などなど緊急かつ重要な議論がされました。

下画像. 宇宙研で05月10-11日に開かれた、はやぶさ2国際合同科学チーム会議の参加者たち

特に、特集号をいつ出すかについて、10‐12月にゆっくり出せばよいのではという「平和ぼけ発言」が出されたので、7月に多くのデータが取れるのだから、8月末か9月初めまでにまず第1弾を出すべきという、LPSC中の会議で話したはずのことを実行するよう主張しました。その後で、ONCのPIである杉田君もそれを支持してくれて、ヨーロッパの着陸機MASCOT側も合意してくれました。上空からの観測データで第1弾、MASCOTとタッチダウンの結果で第2弾、それらの詳細解析や試料回収で第3弾から第4弾という段階的発表でよいと思いました。

私は、はやぶさ初号機の教訓から、日本が国益をかけた戦いに勝利するためには、アメリカよりいち早く小惑星に到着するという利点を決して見逃してはいけないと思います。「こっちもゆっくりやるから、そっちもじっくりやったら」という甘言に騙されてはいけません。私はアメリカで孤軍奮闘しながら苦い経験をしました。いかに多くの人が私を安定した職から排除し、私のアイディアを取り上げ、あたかも自分の仕事のように世に出してきたことでしょうか?

特に1995年ころに小惑星の宇宙風化の存在を主張始めてからの迫害は目に余るものがあり、1999年には佐々木晶さんと共にLPSCで発表することさえ拒絶されかけました。また、はやぶさ初号機の時には、私がNature論文を出していなかったならば、2010年に試料が帰ってくるまで、小惑星イトカワが宇宙風化したLLコンドライトであることを2005年のランデヴーで確定できなかったという汚点を残すところでした。そんな誤りを今回してはいけません。

特に今回の小惑星リュウグウは、私はCMコンドライトだと信じていますが、もしそうであったとしても、粒度・熱変成度・宇宙風化度を判断し分ける挑戦があり、もしCMでなかったならば、隕石型の同定も困難を期します。もっと早く気づいていれば、NIRS3の波長分解能を20nmでなく少なくとも10nmにするよう主張していたのですが。あと、私が論文を書くよりも若い人たちに任せた方が良いと考えている人たちがいるようです。もちろん、どうぞ書けるならば自由に書いてください。でも宇宙風化は簡単ではないですよ。そして最も貢献した人が主著者になる鉄則は崩してはいけませんよ。それが私ではない何方であってもです。

今回は北は山形、西は鳥取、南は高知まで行けたのですが、阪大に戻るや否や、腕時計は止まってしまうし、携帯のデータ接続がまた切れ、さらに充電できなくなりました。鳥取のホテルに置き忘れたケーブルが届いたのでそれを試すと充電できるようになりましたが。おまけに宇宙風化実験の最初に試料が壊れてしまい、思いがけない時間ができました。それもあって、今晩は晶さんのところの大学院生3人を連れて近くのファミレスに行き、また明日の晩は知人の大学生たちを夕方尋ねようと思っています。

阪大の宇宙地球科学専攻は物理学科卒業の学生が来るので皆優秀なのですが、やはり惑星科学の世界はこの世離れしていて、その研究で生きていく決意をするのは実際は難しいようです。ちなみにこのファミレスGOTTは、喫煙席があるうえに、何の仕切りもない垂れ流し状態で、ドリンクバーは喫煙席の方にあるので、毒ガスの害に会うのが必至の場所です。以前に来た時から全く改善されていません。全面禁煙の時間帯もあるようですが、できる限り避けたほうがいいでしょう。ドリンクバーの内容が貧弱な点も変わっていませんし。伊丹空港も苦情を毎回呈しているのに、喫煙所を廃止するどころか一層立派にして増やしている。こんなことでは2025年の万博誘致はやめた方がいいですね。

下画像. 阪大の近くのファミレスGOTTで夕食を一緒した大学院生たち

あと、白米文化はやめて玄米にしないといけません。私は今回は「美人玄米」という玄米と豆類をレトルトパックにしたものを20個まとめて買って電子レンジで加熱して食べていました。玄米を食べられる食堂を池袋や高崎では探し、高知では塾の方が自然食弁当を買ってきてくださいました。次回7月後半に宇宙研に行くときには玄米を注文してISASロッジの台所に備え付けの2つの炊飯器のうちの1つで炊こうと思っています。白米は偽りの米、玄米は真の米です。「食い改め」ましょう。(久しぶりに廣井さんのダジャレを見ました。なかなかイケてます。A. IMOTO)

下画像. 今回活用した「美人玄米」の電子レンジ用パック

 

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