The Planetary Society of Japan

ブラウン惑星人の日々 May 2017

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POSTED BY: Takahiro Hiroi | DATE: May 07, 2017

何ともう5月になってしまいましたが、日本の皆様は春の大型連休をさぞ満喫されたのではないかと思います。こちらはたまに暖かい日もありながら、雨がちでまだ寒い日々が続きます。そんな小寒い中でも、写真のように恒例の日本祭りは4月末にここボストンコモンで行われました。

上画像. ボストンコモンで4月末にあった恒例の日本祭り.
 

さて先月、LPSCの回想を書きましたが、今日、学部長から知らせがあり、今回のLPSCの大学生部門のDwornik賞の4つの部門をブラウン大の学生が制覇してしまったようです!何か昔の栄光が返り咲いたような気がしますが、全体のレベルが低調だったからかもしれないし、複雑な気持ちです。少なくとも、私の分野に近い2つの発表の質は分かります。私が反射スペクトルを測定してあげましたし。日本はいつまで私にアメリカの学生の下働きをさせておく気でしょうか。。。

Best Graduate Oral :
R. Terik Daly, Brown University, for his talk "Projectile preservation during oblique hypervelocity impacts."
「斜め高速衝突における衝突体の保存」

Honorable Mention Graduate Oral :
Kevin M. Cannon, Brown University, for his talk "Primordial clays on Mars formed beneath a steam or supercritical atmosphere."
「河川又は超臨界大気の下で形成された火星での原始粘土」

Best Graduate Poster :
Tess E. Caswell, Brown University, for her poster "Grain size evolution in icy satellites: New experimental constraints."
「氷衛星における粒径進化:新たな実験的制約」

Honorable Mention Graduate Poster :
Hannah H. Kaplan, Brown University, for her poster "Reflectance spectroscopy of meteorite insoluble organic matter (IOM)."
「隕石中の不溶性有機物(IOM)の反射分光」
 

とにかく、日本の惑星鉱物分光のレベルはまだまだですよ。今回気付きましたが、ブラウン大だけでなく、カナダの Ed Cloutis の研究室にも新たな凄腕の技官が来て、紫外の高質な反射スペクトルを出してきたし、このままではいけないです。固体惑星分光の分野だけは、何故か暗黒の民主党の時代にいるような不安を感じます。

私の研究や待遇に関しても、NASAは目覚めたのかやっと私に科研費を久しぶりに出してくれたし、研究費申請の審査パネルに招待も来たし(忙しいので断りましたが)、更に NHK も取材に来たのに、日本の学問界に疑問を感じます。

といういつもの愚痴はこのくらいにして、今週は特別な時期です。5月5日は27年前に私が日本を出て米国に向かった日で、ボストン・ニューヨークを経て、5月8日にブラウンにたどり着いた時期だからです。たった1年で戻るつもりが長くなりましたが、目的は同じです。その間に、固体惑星探査の分野では、かぐやが月探査で大成功をおさめ、はやぶさが小惑星イトカワにランデブーして試料回収をし、はやぶさ2が飛んでいます。世界一の実績を続けている分野にもっと投資すべきと思います。与党自民党は民主党の亡霊にまだ捕らわれているのでしょうか。OSIRIS-REx は、はやぶさ2の二倍の予算でどんどん迫っています。清貧の精神では限界がありそうです。

上記の学生たちはアメリカですからもちろん皆給料をもらっています。遊びや趣味でやっている分けではありません。それを指導する教官たちもレベルが高いです。特に彼らのうちの分光をやっている人たちの支援のために、日本の研究者が働いているというのは、明らかな頭脳流出、またはそれ以上の問題です。27年前はともかく、もう既にここで学ぶことはないと思っています。

日本の固体惑星分光の研究者たちや日本の大学や文科省ができることを掲げておきたいと思います。

1.大学院博士課程の学生の指導と学位審査に外部一流研究者を利用する。
2.RELAB 以上の実験室を日本に作る。
3.大学教官公募には海外経験、英語力、一流紙への論文掲載を必須にする。
4.博士課程に行かない学生は教授・准教授による指導をしない。
5.教授たちは外部資金を取って優秀な学生を支援する。
6.修士課程を廃止する。
7.授業や指導の学生による評価をより厳しくする。

等々、書き始めたらきりがないですが。これを読んでいる人たちは、「あなたは日本の大学で教官をする大変さがわかっていない、自分でやってないから。」というかもしれませんね。でも、そういう機会を与えてくれていないのは日本の大学自体ですから、私の責任ではありません。悪しからず。
 

今月は、まだまだ測定や翻訳のバイトで忙しいですが、3月で終了した科研費基盤 C の成果報告や、それに関する論文書きや、6月7日からの韓国・日本出張のための講義・一般講演・授業などのプリゼンを作るのに忙しいです。ちなみに6月30日は小惑星の日のようですが、私はちょうど大阪茨木の妻の実家にいる日ですね。7月1日にアメリカに戻るので。

 

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