The Planetary Society of Japan

ブラウン惑星人の日々 August 2016

北里宏平君なのだ!

POSTED BY: Takahiro Hiroi | DATE: August 14, 2016

日本はお盆休みの頃ですが、こちらは温度の高低が激しくかつ多湿の週末です。あい変わらず夏休みなので、セミナーはあまりないですが、博士号発表会やサバティカルとかの訪問研究員によるものはあったようです。ちょっと都合がつかず参加できませんでしたが。

最近の大体の時間は、11-12月の2つの学会のアブストラクト締め切りである9月始めに向けていろんな隕石測定や解析をしているところです。その合間に、お昼の時間などは、また帰省・研究にブラウン大を訪問している東大の杉田君と、はやぶさ2の話などをしています。はやぶさ2にも使えると思われる測定例としては、最初の図にあるように、炭素質コンドライトの粒度や測定角がそれらの反射スペクトルに与える影響を調べることです。

上画像:タギジュレーク隕石と南極でとれたCM2コンドライト隕石のいろんな粒度や測定角での可視・近赤外反射スペクトル。

特に、左側にプロットしたタギシュレーク隕石は、この波長範囲では特徴的な吸収帯を示さないので、粒度の変化によるスペクトル傾斜の変化を見るには最適です。この図で分かるように、粒度が粗くなってくると、右上がりだったスペクトルの傾斜が減少して、平らになったり、右下がりになっていくのが一般的のようです。ただし、はやぶさ2の多色カメラONCでは、波長バンドフィルターが390から950nmの範囲しかないので、その部分だけでこれだけの傾きの変化がわかるかが問題でしょう。

左側のタギシュレークの場合は、粒度を25ミクロン以下と、25-125ミクロンの範囲とに細かく分けたのですが、右のアメリカが南極のアランヒルズから回収してきたCM2隕石は、125ミクロン以下と125-500ミクロンに分けたせいか、傾きの変化は大きめで、ONCでもちゃんと見えるはずです。そして、このCM2の測定の目的は、同時に測定角依存性で、入射と出射の角度の差である位相角が30度から15度まで小さくなると、明るくなる傾向が見えています。30度よりも大きい45度や60度も測定する予定です。そういう測定が、ここRELABの強みでもあります。

同時に、お昼時間には、以前お話ししたように、継続してAsteroids IVの本を読んでいるのですが、昨日、非常に気になる文に出くわしました。Photometry(測光)の章なのですが、次の図にあるように、測光モデルであるHapkeのパラメーターの小惑星上での分布を導き出した人はいないような書き方をしてあります。

上画像:Asteroids IVの本の147ページにある記述と、会津大の北里君の博士論文での小惑星イトカワ上でのHapkeモデルパラメータ図。

ところが、はやぶさのNIRSデータを最初に研究した学生である北里君は、2007年にその博士論文で、Hapkeモデルでのパラメーターと、更に、平均粒子サイズやナノ微小鉄の量といった物理量のイトカワ上での分布まで出しています。一般の学術雑誌に出版していないとはいえ、東大の博士論文は参照可能であり、著者の不勉強としか考えられません。更に、近い将来の小惑星ミッションとして、一番早いはずのHayabusa2でなくOSIRIS-RExを引用しているのも気になります。もっと日本のミッションと研究成果を勉強してもらいたいものです。

最後に、最近ブラウン大のキャンパスの私の通勤途上にある奇妙な物体についてです。最後の写真にあるように、淡青色の熊が洞窟で作業をしているような像が立てられつつあります。まあ、淡青は母校東大の色でよいですが、なんでこんな像なのか、と思ってしまうのです。まあ、いつかその意味が分かる日が来るかもしれませんが。。。

上画像:ブラウン大キャンパスの建造中の淡青の熊の像。

暑い夏は早く終わって、秋から冬(ボストンほど寒くない)の良い季節にまた日本に行きたいものですが、それまでに測定や学会発表要旨や研究論文をいくつか済ませないといけないです。
 

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