The Planetary Society of Japan

ブラウン惑星人の日々 July 2016

Boston Go !

POSTED BY: Takahiro Hiroi | DATE: July 31, 2016

夏の盛りの今日この頃、日本の皆さま、きっと暑さで大変なことでしょうね。と、思いきや、weather.com で調べたら、何と東京の気温って、ボストンと同じくらいか、ちょっと低めなほどですね。まだ梅雨が明けていないのかもしれませんが。とにかく、こちらは昨日から涼しめになりましたが、高温多湿で非常に不快な環境でした。おまけに実験室のクリーンルームと双方向反射分光器(RELAB BDR spectrometer)の部屋に特別に設置してある除湿器が故障中で、古い建物から持ってきた家庭用の床置き型の除湿器を使っている次第です。湿度の問題と、逆に乾燥する冬の静電気の問題は難しいです。

さて、ちょっと夏バテ気味か、1か月近くこのブログの間をあけてしまいましたが、夏のこちらの風物詩調に近況をお話ししたいと思います。トロヤ群探査の学会の後は、夏休みなのでセミナーもなく、何人か博士号の審査会はありましたが、私は測定で忙しくて参加できずじまいでした。夏休みとは言え、私は試料の測定とデータベース管理、そして分光器の修理とかで忙しいです。

上画像:Boston Common での無料ヨガ教室と、その隣の Public Garden の様子

さてまずは無難な話題から始めますと、最初の写真にあるように、ボストン・コモンでは無料ヨガ教室が行われています。暑い日は日陰を探すのに苦労しているようです。右側の Public Garden の様子も、幾何学的に配置された花壇と舗装された道が見えます。夏は暑いばかりです。このように、アメリカの公園では木もないような広い芝生や舗装された道がありますが、ゲームなどをするにはよくても、とても憩いの場とするには季節の幅が狭すぎます。夏は日陰を作り冬は日を通すような、広葉樹をもっと植えればよいのにと思います。やっぱり、日本の庭園がよいです(西洋かぶれしていないものは)。

上画像:大麻の合法化とポケモン Go の Metro 記事

一方、大統領選が行われている政治の分野では、オバマ政権になってから悪の民主党がどんどん国民を凋落させていく政策を進めています。次の写真は無料新聞 Metro の記事ですが、マリファナ(大麻)を合法化させたら税収で大きく儲かるとかうそぶいています。税収があっても、州の人々の健康が悪化し、犯罪が増えたら、逆効果の方がはるかに大きいです。麻薬の合法化どころか、タバコをも違法化すべきです。短期的・短絡的・快楽的な国民性が大統領レベルまで浸食した、どうしようもない国となり、亡国の道をまっしぐらのようです。次の大統領はトランプでなかったら、この傾向は一層進むでしょう。

右側にあるのは、Pokemon Go が Boston Children’s Hospital で利用できるという話です。うちの次女もある日の夕方、Public Garden で Pokemon が出るんだと言って友達と出かけて行きました。任天堂の大きな Breakthrough ですね。私の Windows Phone では使えないと思いますが。

もう一つ、政治的に問題なのは、Gender Free の傾向です。ここマサチューセッツ州は同性結婚を全米で初めて合法化した悪名高き州ですが、今回、生物学的な普通の性別と異なる Gender を持つ人が、後者のトイレを使えるという法律を通してしまいました。知事は保守的な共和党のはずなのに、拒否権を発動しなかったのは、州民に対する裏切りだと思います。なので、男なのに自分は女性だと主張する人たちが女性トイレに自由に入れてしまうのです!こういう国にした政治家や運動家の背後には悪魔がいるのではと思ってしまいます。これでは、私の娘たちに駅のトイレとかを安心して使わせることはできません。日本も、渋谷区とかが悪の道を歩み始めているようで、生物学的な種としての自滅に向かう傾向は科学者が率先して正すべきと信じています。

上画像:Capital One Cafe とそのトイレの様子

最後の写真は、その影響の一例を示しています。私がよくお世話になっているBack BayにあるCapital One Cafeのトイレですが、Unisexの個室トイレが2つあるだけです。なので、混んでいるときは、長い行列ができてしまいます。きっと、男子トイレと女子トイレとして分けると、上記のGenderの問題に抵触するかもしれないので、性別のない個室にして施錠できるようにしてしまったものと思われます。そして車いすも入れる必要があるので、中は贅沢に広々としています。

アメリカはどうなっていくのか、上記のように、大統領が保守的な人となって強力な指導力を発揮しないと、この国は次世代には二流国家に転落しているかもしれません。もちろん、その時は日本が一層輝く時代になってほしいですが。
 

木星トロヤ L 点へ向かう道

POSTED BY: Takahiro Hiroi | DATE: July 05, 2016

今日はアメリカの独立記念日で、土曜日から月曜日まで3連休になりました。この週末は、異例なことに宇宙研で、以下のリンクにあるように、Jupiter Trojan 2016という木星のトロヤ群小惑星への探査の可能性に関する研究会があり、仕事がないのを利用して、ほぼすべてWebExで参加・発表しました。
http://www.hayabusa.isas.jaxa.jp/...trojan2016/

ご存知のように、小惑星の大多数は火星と木星の間の主ベルト帯にあるわけですが、太陽と木星との重力場が均衡を保つラグランジュ点と呼ばれる5つの場所のうちの2つにも小惑星が集積しています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Lag...

これら5つのラグランジュ点のうちのL4とL5と呼ばれる領域にある小惑星群をトロヤ群と呼び、スペクトル型で言えば、D型が多く、次にP型、そしてC型という順です。小惑星は太陽に近い方から遠い方に向かって、より高温環境で出来たものからより低温環境で出来たことを示唆する反射スペクトルを示し、DやP型というのは、一番低温領域に当たります。T型というのも実はD型とそっくりで、やや明るいだけなので、私は一緒にしています。

さらに最近は、軌道計算による太陽系生成論の分野でGrand Tackというモデルが出てきて、木星や土星は一度太陽に近づいて、そしてまた離れて行ったという仮説があります。それが本当だとすると、木星軌道上で前後60度に集積しているトロヤ群小惑星は、遥かかなたの冥王星軌道上で出来た物質であるかもしれないということです。もちろん、主ベルト帯の小惑星と同様な物質も混合しているかもですが。

はやぶさ3でこのトロヤ群小惑星からの試料回収をすべきとの話が出ていたのですが、はやぶさ2の次は火星衛星からの試料回収になりそうで、トロヤ群ミッションは下火になったのかと思いきや、やはり、ソーラーセイルを生かせる、科学にも多大に貢献できるミッションとして宇宙研は推進していきたいということなのでしょう。川口先生も意欲的に発言されていました。私も基本的には賛成ですが、試料回収が出来なければ、科学面から見て、欧米に競争で勝てるとは思えないです。ランダーやその場観測装置において日本はまだまだ遅れているからです。

今回、私はずっと不勉強だったトロヤ群について、Asteroids IVのJosh Emery達の章の始めや、彼らの他の論文や、Pierre Vernazzaなどの最近の論文を読んで勉強しました。まだ結論は出ていない分野ですが、彗星のような無水ケイ酸塩と氷の集合体としても、可視・近赤外反射スペクトルの傾きの変化が何に起因するかの結論は出せないように思います。私は組成の違いもさることながら、宇宙風化による青化の影響もあるのではと思って発表し、また硫化水素の揮発度によって色が変わると言っている研究者もいました。

太陽系の始原的物質を調べる科学という観点からもトロヤ群探査は魅力的ではありますが、試料回収が今のようにオプションという位置づけでは、どんどん関心が高まっているトロヤ群探査において欧米に先を越されてしまう可能性は大です。試料回収は、まだまだ保守的な彼らには困難度が高いので、日本が一番になれる可能性はあると思います。でも、往復30年という長期のミッションはNASAでも大きな挑戦で、日本の技術力と予算で実現できればよいですが、結局試料回収は切り捨てるならば、欧米とはすみわけをして、近地球か主ベルト帯のD型小惑星から試料回収するという選択もあるでしょう。そこでの問題は、D型小惑星がトロヤ群のものとは違う可能性があることと、ソーラーセイルなどの新技術の推進につながらないかもしれないということでしょう。

Pierre Vernazzaがいうように、もしトロヤ群小惑星が、無水な宇宙塵と氷の塊であるのかどうかは、もっと実験室での測定やモデル計算で詰めていくべきですし、それを通して、トロヤ群と同じようなD型小惑星が、主ベルト帯などのより近い場所にあるかどうかを観測で見出すべきでしょう。それをしないと、科学面からはトロヤ群探査をすべきかどうかの価値判断は難しいと思います。上述したように、主ベルト帯のD型小惑星の決定的問題は、はやぶさ方式で試料回収をできたkmレベルの大きさの小惑星が見つかっていないことかもしれません。トロヤ群ならば、豊富なD型小惑星のサイズ分布から見て、そのような小さなものも多く似た軌道に存在すると信じることができます。もちろん、近くまで行ってから見つけるしかないでしょうが。

最後に、印象に残ったのはコーネル大学のJim Bellが言っていたことで、NASAは昔と比べてとても保守的になってしまい、挑戦的なミッションは通りにくくなってしまった。その分、JAXAやESAに危険でも挑戦をしてほしいということでした。競争とすみわけを考えても、やはりトロヤ群小惑星試料回収ミッションでしょう。
 

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